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【百合】【ダンガンロンパ】【可哀想な少女】の何れかが好きならオススメです。
全部刺さるなら買わない理由がありません。

レビューにネタバレや匂わせが散見されるので
公式ページのキャラクター欄を開いて【推し】が決まったら
今すぐレビューを閉じてプレイしましょう。

思ったより綺麗＞凄惨
議論で謎と問題を解決する少女達の物語

本当に最後まで走りきった上で、筆を取ります。（v1.0.2時点の内容）

まずはネタバレ抜きの雑感です。
プレイする上で、システム面で多少不便な所もありますが
それでも煩わしさを越えて進みたくなる程度には
キャラクター達も魅力的で事件の内容も面白かったです。
夢中で走りきれる位には没頭出来たと思います。

お値段にしては、台詞はフルボイスだし事件数も多く
４～５千円したゲームのディスクを買っていた世代としては
随分お得に相応なボリュームを味わえたと思います。
ご馳走様でした。素敵な物語だったと思います。

・可愛い女の子達が好き
・事件の謎を紐解くのが好き
・苦境に抗っていく姿や物語が好き
・ちゃんと解決する事件が好き

・スプラッター描写や身体の中身が好き
・永劫の宇宙に放り出される様な、着地の無い展開が好き
・関係性がこじれたまま紐解けないのが好き
・擦れ違ったまま永劫に負のループに沈んでいくのが好き

・分岐まで戻る機能があり、分岐の回収は楽です。
・セーブデータの数はもう少し余裕が欲しいです。
　アップデートで改善されました、手が早い！
　（選択肢＋シーン変化ごとのセーブでギリギリ足りた程度で
　　こまめにセーブする人だと全部埋まってしまうやも）
・オートセーブはないです。
　（選択肢が出ている瞬間でもセーブできる点は便利）
・セーブ/ロード画面が特に重くバグりやすい、ストレス箇所。
・議論中の選択肢を選ぶ画面では選択肢以外を押せず、
　証拠や情報、バックログを見直せず総当たりになる。
・議論中の台詞再生は速度変化しかなく一気には飛ばせない為、
　冴え度合いと場所によっては同じ長台詞を何度も聴く羽目になり
　スパッと解けない状況ではストレスになるかも知れないです。
　いわゆる「どれだ？　もう総当たりするか！？」といった
　迷探偵状態になると相応に手間暇を感じます。



　～ややネタバレ気味雑感～

本作はあくまで、論議であらゆる事を解決していく、
手掛かりを探し、時に引き出して謎を暴いていく構造です。
ただ少女が鬱屈に打ちのめされ、蹂躙され、壊され
腐り落ちる果実を踏み潰す様に消費されるだけの結末や
そういった読後感の悪さだけを只管に期待するのであれば
少し物足りなさを感じるかも知れません。

　～以降ネタバレ増加～

また、スプラッターなビジュアル描写を求めるのであれば、
そちらも物足りなさを感じる人が多いでしょう。
少女達の血は綺麗な蝶になってしまいますし、
無惨なシーンも文字描写＋真っ赤に画面が染まるだけの事も多いです。
特に派生のBADENDは呆気なく終わる、屋敷に永劫に囚われる系の
即死or生殺しが多いので『ああ、やめて！』と目を覆う様な
真綿で首を締める様な死に際や少女の苦悶を期待する人には
やはり物足りなさを感じる側面はあるのではないでしょうか。
公式Twitterの言説から期待する程の凄惨さは無いかも知れません。

CGの描写としても綺麗なご遺体～存命状態が多く、
五体満足、五臓六腑健在なイラストや綺麗な死に様ばかりです。
いわゆる惨殺死体や腐乱死体のイラストを目当てにすると、
やや肩透かしを喰らうでしょう。基本、四肢は繋がっています。
冒涜感が薄い、エグ味や狂気は抑えめですので
逆を言えば苦手な方にはある程度オススメできる要因です。

いわゆる処刑シーンについてですが、
恐らくこのタイトルと比較されるだろう似たジャンルの名作の様な
派手で容赦の無い動画での処刑などではなくCGと文章です。
数枚と微差分＋文章でそういった描写が終わるのですが、
その際も肉肉しい描写は薄いです。痛々しい描写はありますが、
死に様や苦悶で終始終わるなどではなく、
最後の言葉や自身、行いへの言及の方が重要視されています。
苦しそう過ぎて何も分からない、みたいな後味の悪さは無いです。
動機も真意も何も分からないまま逝去する相手に呪われたり、
消化不良感を好むような、放置される結末を好む方には物足りないかも。



トリックも多い上、議論中に提示される可能性も多いです。
きっとこういった作品に慣れている方ならほどほどか、簡単程度でしょう。
魔法という、世界観ならではの固有能力があるのもあいまって、
それ込みで構成されたトリック、それありきで生まれる可能性があり
それらに推理の枝葉を拡げるのは自分としては面白かったです。

推理中も「この人物ならば可能なのでは？」といった事があり楽しいかと。
逆にそれのせいで犯人が絞れるとも言えるのですが、
本作ならではの状況で事件を紐解くというおもしろさには繋がってます。
魔法がある世界ではありますが、ある程度限度があるため
突拍子が無さすぎる無理筋はないかなと。無理なものは無理！
といった塩梅で限界は存在します。それ込みで、解ける作品です。
この子はどこまで出来て、どこまで隠している？　偽っている？
みたいな所込みでも面白いですよね。程よいです。

とはいえ議論時点で全ての情報が揃っている事は稀です。
操作キャラ以外の人物による論議の中での共有や、
こちらが引き出す事で展開される情報があるので
論議前に全貌を当ててやるぜ！という安楽椅子探偵的な
憧れをもって望むと解決が難しい事件が多いでしょう。
ちゃんと、論議する事に意義が有るため、
そちらをぜひ楽しんでいただければと思います。

あまり書き過ぎて楽しみを奪っても良くないかもなので、
以下黒塗りは出来れば読まないで進めてほしいのですが、
ただ穴や正しい事を指摘するだけではなく
正解に至る為に証拠や失言を引き出すといった所も味でした。
謎解きのシチュとしても、中盤にグッと試練感が強まります。

ただ、この手のサバイバルに付き物ですが、
後半になると人数が減るため犯人の予想は簡単になるでしょう。
このシンプルなトリックをこんな大詰めに出すんだ、と
ちょっと物足りなかった事件もあるにはありますが
全体を通して見れば幅も内容もお値段以上だったかなと。

物語も楽しむ作品ではあるので、
事件だけではなく人間関係というか心の問題も
解決しなければいけないパートがあります。
ある意味、心を解明する謎解きではありますが
「俺は事件を解決したくて遊んでるんだ！」という人には
少々退屈かもしれない場面が多少あります。
論議やキャラの解明を楽しみにする人にはゾクゾクできると
思うので貴方がそちらも楽しめる人ならば、大分お得ですね。



買いです。良いと思います。

フルボイスなのもあってキャラクターが良く喋ります。
意外と皆に台詞がそこそこあります。ご安心を。
体験版で死んでしまった彼女のファンも、
ちゃんと一杯喋っているシーンが見れるので
どうか期待してください。大丈夫です、私を信じて。

続ければ「何故あなたはそういう子なの？」といった
生い立ちも相応に明かされますし、過去も知れます。
その上で誰がどんな事件を起こすのかは楽しみですよね！
楽しんで下さい！　名探偵、なりましょうよ！

私は名探偵というよりは迷探偵気味な冴え度合いでしたが、
よほど詰まったという場面は１度程度でしたので、
困ったら総当たりするくらいで突破できるので大丈夫です。
（その際同じ台詞を何度も聞かされますが、
　声優さんの声も演技もいい感じなので耐えて下さい）

でもやっぱり、好きな子の破滅をじっくりゆっくり、
万力で締め上げた林檎から滴る汁を啜る様に味わいたい人には
多少物足りないかなといった気がします。

健気な子や負けない子が好きな人は、
特に美味しい汁を吸えるのかな～と思います。

ただ、犯人の意外性にも繋がる要素ではありますが、
殺人衝動が魔女化とセットになっているのもあり、
動機としては不十分ではないか？　みたいな事件が
あるにはあるので、事件次第ではもんにょりかもです。
でも動機語りの美味しい事件もあるので、沢山満喫して下さいね！



続編なんかがもしあるなら、
別な顔ぶれでの話も見てみたいですが
この顔ぶれでもまだ面白い事件が作れそうだなと思います。
もう一回りくらい、別な犯人版欲しいなぁと
つい思っちゃう位にはシチュもキャラも面白いので
もしそういった厚みが増えてくれたら嬉しいです。
既に充分に満足感はあるので、欲張るならの話ですが。

物語として結構綺麗に収まるので、もし続編を出すなら
綺麗に終わった本作に対して蛇足になるとか、
単に焼き直しにならないかは不安です。特に最後の方。

でもシリーズ化してくれるなら嬉しいとは思うので、
このメーカーさんには期待させて頂きます。

せっかくだからこのスタイルのままご紹介いたしますわ。読みにくい？学の無い平民は嫌ね。
トゥルーエンドと全処刑エンドは鑑賞済みですわ。他にも分岐があるようですわね。

古くは源氏物語、弘徽殿の女御から脈々と連なる悪役令嬢の文化が大きく花開いた現代に、大変素晴らしい令嬢百合ストラテジーが登場いたしましたわ。それがコチラのお遊戯ですの。

主人公となるは二人のご令嬢。ひとりは、自称顔も頭もいい猛獣、スカーレット公爵令嬢よ。
とても派手好きで、粗野な言動の中に高貴な気品が溢れる愉快なヅカ系ご令嬢ですわ。このお方を殿下の婚約者にするなんて、王家の方々は冒険心に溢れてらっしゃいますわね。
もうおひとかたは、子犬のようにキャンキャン吠える姿が大変お可愛らしい、リリィ様ですわ。共和国の新技術、『配信』を使ってスカーレット様の戦いをサポートするだけでなく、精神的にもお支えになるお方ですのよ。ただ、彼女の動きによって帝国の皆様方は生き長らえるか、処刑されてしまうか決まりますわ。捉えようによっては総攻めにも総受けにもなれる、素敵な可能性を秘めたお方かもしれないわね。
とあるご縁から、彼女らは帝国と争うことになりますの。争いといっても、剣と弓なんて旧時代の争いではないわ。時代は火薬よ。

戦闘は、歩兵＞騎兵＞砲兵＞歩兵という三すくみを意識した戦術が必要になりますわ。少しでもこういった作品を嗜んでいるのであれば、すぐに理解できるのではなくて？
戦闘中の行動も指示できますわ。最初は全体攻撃程度しか選択肢がないでしょうが、だんだんバフ・デバフを駆使して戦うことになりますのよ。デバフの効力はあまり見たことがないレベルで強力ですわね。

戦略的には、部隊をおいくつ配置できるかという土地の広さと、その地までの兵站の確保を重要視されていますわ。帝国の兵は1対1でも蹂躙してくる精強さを持っていますので、部隊を沢山配置できる広い平地や城はとても重要ですのよ。
兵站の確保に関しては、どの拠点で何を生産するかという難しいものではなく、拠点が本陣と繋がってさえいれば大丈夫ですわ。
もし敵兵に途中の拠点を取られて兵站線が切れてしまったら、前線に取り残された部隊の方々は補給が届かずとても苦労するそうよ。でもパンがないならケーキを食べれば良いのではないかしら。

配信を行う飛行船もとても重要な存在ですわ。前線を飛び回って、敵兵の注意を引いたり、補給を邪魔したり。プロパガンダもお手の物ですわね。でもお相手に配信を届けたいあまり、敵陣に取り残されてしまったら。これもまた大変なことになりますわ。大事にお扱いなさいね。

戦いの中で、帝国の名のある方々とお会いすることもありますが、彼らは捕縛するか処刑するか選ぶことができますの。捕縛したら同じ派閥に加わっていただけますわ。
仲間になった彼らは少数で戦うスカーレット様一行にとってとても心強い戦力となりますわ。大変個性豊かな方々がお揃いですし、特定のカップリングは小話が用意されていて、鑑賞することができますの。
そして捕縛せずに処刑した場合は・・・。是非二週目の楽しみにとっておきましょうね。ワタシは胸の動悸が収まりませんでしたわ。ついでに血管もブチ切れそうでしたわ。帝国は畑から人が採れるのかしら。

ところでワタシの推しはグレイボルト侯爵令嬢ですのよ。同担は歓迎ですわ。

ここからは別の観点のお話よ。あまり重く受け止めないで頂戴ね。
動作が重いという方々がいらっしゃいますわね。ワタシはあまり感じませんでしたが、体験版を利用してみるというのも手だと思いますわ。ただセーブデータは引け継げないので最初からやり直すことになりますの。同じことを何度もやらないといけないなんて、平民の暮らしのようね。

戦いが起こるたびに、開戦のアニメーションが入って飛ばせないのも少しテンポを損ねているのではないかしら。
ワタシのような青い血を持つ者は平民と違って優雅に過ごせますが、それでも時間は有限ですもの。

ただ、全体で見たら4倍で飛ばせる戦闘に、2倍で飛ばせる敵のターンと、こういった作品の中ではテンポは優れていると思いますわ。こちらの手勢が少ないおかげで、全員に指示するだけで数十分かかるなんてこともありませんもの。

オプションやセーブ回りも少し不便ね。オプションを弄るにはセーブ画面を開いて、そこからタイトルに戻らないといけませんのよ。登城するよりも気が遠くなるわね。
あとで気づいたのだけれど、実はINFO画面にもオプションは居ますわ。まるで壁の花ね。気づきませんでしたわ。
セーブデータは手動の他に章毎、ターン毎に用意してくれるからなかなか気が利いていることは認めます。ただ添付の画像の範囲が小さいから、どの状況のセーブデータかわからないのよね。

通常プレイにおいては戦闘バランスは特に悪いとは思わなかったわ。デバフは正義よ。
デバフできる仲間がいない？ならバフは正義よ。

そろそろお時間ですし、手短にまとめますわね。
百合に嫌悪感がなく、ストラテジーやRPGを嗜む方には大変おすすめいたしますわ。
謎の多い始まりから、愉快な一行の快進撃、そして百合の花が咲き乱れ、一部薔薇の花が見えなくもない素敵な物語。
兵站と土地を意識した戦略面と、個性豊かな皆様を活用する戦術面。そして本作の特色ともいえる配信の活用。
そして何よりも、皆様のお顔がとても良いのよ。ここまで真面目にお話を聞いている奇特な方がいたら申し訳ないのですけれども、ストアページのスクリーンショットを見て直観で好きか嫌いかで購入判断していいと思いますわ。

スカーレット様の配信を嗜む同志であれば、またいつか別の百合作品でお会いすることでしょう。それではご機嫌よう。

ゲーム内の世界観用語解説がとっても充実しているわ。地名や文化、兵器・部隊の解説等の他、物語開始前のスカーレット様の所業であったり、「くっ・・・殺せ」の戦術的利用について纏められた資料なんかもあるのよ。こういうのを読むのが好きな人には垂涎ものね。
細かい所をつつくと塹壕が無いのに戦車があったり、方陣なのに砲撃に対しても固くなったりと気になるところもあるけど、まあご愛敬ね。とても愛を感じる世界だわ。