Space Engineers

Space Engineers

33 ratings
あるいは不適切な散文的デザイン手法ノート
By Arara
船の”設計”に関する基本的な話を並べていきます。ガワから作るか、ミから作るか、それとも…?
2
   
Award
Favorite
Favorited
Unfavorite
最初に:板は豆腐になる
おわかりだろうか。
画像右の船は、左の船をアーマーで囲ったものだ。

エンジニアが陥る最初の過ち、それは「板を作る」事だ。板を組めば箱になる。豆腐になる。必然の結末なのである。ただでさえブロックは四角いので、無計画に組めば四角くなるのは当然だ。角を削るなどという小手先の技でどうにかなるものではない。板を作る時、それは機能面の要請であれ、装飾上の要件であれ、「そこに板がなければならない時」だけなのだ。
シルエットとディテール
もちろん船体を適切に整形すれば、装甲で覆われていても豆腐にならないようにすることが出来る。例えば画像の船体はほぼ完全な直方体であり、角を削っているのは艦首だけだ。その代わり表面のパターン(この船体はパターンが刻まれた正方形の板パーツを組み合わせて作られている)や、互い違いの隆起(側面-底面-上面、エンジンブロックも上下と左右でずらしてある)によるアクセントで、単純な箱には見えないように工夫してある。
また、いわゆる「舟型」であれば、豆腐にもなりにくい。"ship plan"で画像検索すると、船の図面がたくさん出てくるので、参考にしよう。船首を細く、上面を広くすればよい。幅に対して長さの比率を高くするとスマートに見える。曲面を作るのが難しい場合は、シンプルな傾斜ブロックで作った曲線のみの輪郭を積み上げるようにすると簡単だ。ちなみに積み上げる方向は縦派と横派がいるようだ。
実在の水上船の船体は四角で、船首と船尾に傾斜が集中している(船内や貨物コンテナは四角が基本なので本体は四角く、水流に対処するために先端が流線型になっている)というのもポイント。四角い船体でも先端を整えてやれば、水上船のような形状にしてやることができる。
note: 船の長さもイメージを決める上で重要だと言われています。参考までに、人気がある第二次世界大戦の戦艦は、長さと幅が1:6~1:7程度の比率です。巡洋艦や駆逐艦では、1:9前後になります。
モチーフ
モチーフを持つと、全体をイメージしやすくなる。動物、植物、道具や図形など、形状のベースに成るものを考えてみよう。もしくは、船首像のように、そのものの形態をシンボルとして配置するという事もできる。例として、画像左の戦闘艇はハチドリがモチーフとなっている。右の戦闘艦は、艦橋がオオカミ風になっている。
コンセプトを明示せよ
コンセプトは全ての建造物の基盤だ。その建造物において実現すべき、最も重要な要件が明確になっているだろうか?達成すべきコンセプトが明確であれば、設計や建造において問題が発生したときでも、何が足りないか、あるいは余分なのかを識別する指標になってくれる。
コンセプトが明確でない場合、起こることは簡単だ。大量の武装を搭載しコンベアを通す穴だらけになった巨大な装甲の塊に載せても載せても足りないスラスターとジャイロでPC負荷が限界突破。要件は取捨選択される必要がある。それは、火力なのか装甲なのか機動力なのかスタイルなのか、或いは特定の機能やギミックなのか?「自分が最も欲するもの」は何なのかを見極めよう。それ以外は捨ててもいい。
設計する(計画を建てる)
コンセプトを確定したら、簡単でも良いので、どのようにそれを実装するか考えておこう。基本的な構造と規模、必要な技術やパーツ、投入するMOD、おおよその工期に思いを馳せよう。設計がいい感じであるほど、実装はスムーズになる。
もちろん、実際作ってみるというのが一番大切だが、特に巨大な船ほど時間がかかるので、事前に小さい試作品で見た目やギミックを確認しておくのがよい。…ここでちょっと簡単な計算をしてみて欲しい。500mの船は100mの船に比べて、縦横高さが5倍>5x5x5=125倍のブロック数となる。同じようにやっていたらものすごく大変なのだ…
のりしろ
新しい船を作っている最中、あるいは既存の船を改装する時、しばしば大きな計画変更が発生する場合がある。その時に備えて、作業に必要な余白を作っておこう。追加の装備を搭載するためのコンベア、甲板上のスペース、船内の空き部屋、船体を延長するために切断する何も置いていないライン、等々。こうした余白を持つことで、複雑な計画もスムーズに進めることが出来る。
また、余白を装飾的なパーツで埋めることで、船全体のデザインを高めることもできるだろう。
パーツのストックを増やそう
簡単なものでも、複雑な機構でも、出来合いのパーツを多く持っていることは、より大きな船を作るときの助けになる。武器やエンジンなどに限らず、表面の装飾、艦橋、船内の部屋、階段、切り出した艦首などの船体の一部をストックしておくと良い。
このようなストックは、船のイメージを組み上げるのを助け、建造の手間を軽減する。装備を搭載するのに必要なスペースを勘案したり、より大きなパーツを作るベースにもなる。
また、他のエンジニアとパーツを交換する(ワークショップで公開したりサブスクライブする事を含む)事により、建造可能なものを増やすことが出来る点において、非常に重要だ。
これらの船は、別項で見た緑色の船と同じく、パターンが施された装甲板を張り合わせた「四角い船体」をベースにし、エンジンブロックも共通のパーツが使用されている。どんな違いがあるか見てみよう
モジュール化と通路
多くの船はモジュールの組み合わせでできている。モジュールはそれぞれ機能を受け持つ船体の部分で、サイズが異るモジュールを合わせれば、船のシルエットに変化が生じる。さらに重要な事は、モジュールは他のモジュールから独立しているという点だ。
つまり、モジュールがふたつあれば船には2つの部分が生じる。同時に、モジュールをつなぐ通路(またはドッキング機構)が必要になる。モジュールが増えれば通路は相互に連結される必要が生じてくるので、船の複雑度が上がる。同じモジュール内で分かれた部屋をつなぐ通路とは異なり、通路自体が船体を構成する事ができるのだ。通路の敷き方だけでも船の様相は大きく変わってくる。色々なパターンを試してみよう。
負荷を気にしよう
あまり大きな物を作りたくないならよいが、巨大な船、あるいは小さくてもブロック数の多い小型船は、大きな負荷を発生する場合が多い。特にマルチでは負荷の影響が大きい。電源やスラスターやジャイロ、その他の機能的なブロックは、その数だけ処理負荷を追加するため、可能な限り少なくすることで、船全体の負荷を低減することが出来る。MODを投入し、船体規模に見合ったブロックを選択しよう。快適なエンジニアライフを目指そう!
1 Comments
ゆせ Feb 5, 2021 @ 9:14pm 
とても参考になりました。わかりやすいガイドをありがとうございます。