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Posted: Sep 15, 2016 @ 3:16pm
Updated: Feb 28, 2019 @ 5:21pm

神ゲーすぎる、どうなってんだ…?

↓以下、超長いです
2017/10 Ashes of Malmouth 実装時追記

この度ついに、新クラス(マスタリー)2種追加&ストーリーのボリュームが1.4倍くらいになる&レベルキャップ解放&新アイテム・新派閥・新モンスター多数追加の拡張パックが登場しました。拡張までDiablo2LoDリスペクトといった感じですが、ボリューム的にはそれをも凌ぐ大型拡張です。クラスに関しても、追加されるのが2種とはいえ、このゲームのビルドはデュアルクラスですのでマスタリーが6→8に増えることで組み合わせは15種→28種とほぼ倍増です。知り尽くしたつもりだった世界でまた未知の場所を探索し、未知の敵と戦い、多数の新たな発見と出会える歓び。待ちに待ったAshes of Malmouthのマップは素晴らしい景色ばかりで、楽しくて楽しくて、こんなにワクワクするのはいつ以来か。

拡張版のリリースと同時に倉庫がとても大きくなりましたが、それでも有限ですので、本格的に多ビルドを育て始めるほどにハマることができたなら、少し導入が面倒ですがGrim Dawn Item Assistant[wikiwiki.jp]という倉庫拡張ツール的な外部ソフトの導入をオススメします。(所持しているアイテムをゲーム外のデータベースに出し入れして管理できるツール。拾っていないアイテムを産み出したり、所持アイテムの数値を弄るといったいかにもチート的な使い方はできません)
倉庫の実質無限化、日本語でのアイテム名表示・入力対応、検索機能などもついておりアイテム管理がひじょうに捗ります。新しいビルドを考える時にも手持ちアイテムの確認が容易になり、自分はこれとhttp://www.grimtools.comの併用でゲームのプレイ寿命が飛躍的に伸びたと感じました。

以下旧レビュー

ハクスラゲーとして5年に1作レベルの完成度。いや、このジャンルの基礎を築き上げたDiablo2(ハクスラの基礎を完成させ、スキルツリーやシナジー、装備品に付与できるスロットアイテム、セット効果など当時としては斬新なシステムの数々はいまなおジャンルを超えて他のゲームに影響を与え続けている)、及びその拡張パックであるLord of Destructionの発売が2001年であることを考えると、Grim Dawnは20年に1本レベルの傑作と言ってもいい。ハクスラファンの間で今後長らく「鉄板」として語り継がれていくことが間違いないであろう作品。

あのDiablo2のまさに正統進化。その意志の継ぎ具合たるや本家ブリザード社によるDiablo3をも凌駕します。Torchlightシリーズや、開発チームの過去作であるTitan Questなど、Diablo2の流れを汲んだハクスラは多数あるものの、ついにその決定版が現れたといった感じです。後述しますが、ブリザードを正しくリスペクトし、かつユーザーフレンドリーなメーカーの開発姿勢が良い。

DIABLO2が大好きだった人間にとっての「またあんなゲームがやりたい」をほぼ実現

「イマのグラフィックでDiablo2やりたいなぁ、3はナンカ違うんだよなー」という自分の願いを「ほぼ」満足させてくれました。その上で、Diabloシリーズほどガチガチに強ビルドが決まってないこと、画期的なデュアルクラスシステムに加えてゲーム内通貨で行えるそこそこ手軽なスキルリセット、多彩な攻撃属性と耐性、星座やコンポーネント(装備に追加できる部品)による追加スキルや耐性カバーなどで、装備・育成の自由度がかなり高い。そしてラダー(Dia2謹製の期間限定スコアランキング)のような競争要素もないので(これは一長一短を生んでいます。後述)自分なりの考えや好みを存分に取り入れながらキャラクターを強化していけるのが楽しい。

初回プレイ、ノーマル一周に要する時間は20~40時間(拡張後は+10時間)程度で、ライトなRPGファンやハクスラ初心者ならノーマルだけをライトに遊んでも充分満足なボリューム。でもちょうど終盤にさしかかるレベル50くらいからレジェンダリーアイテムも落ち始め(装備できるのは50以降)本格的にアイテムハントも面白くなるのでぜひそれくらいはプレイして欲しい。デスペナも経験値ロストのみと甘めで遊びやすい。ノーマルクリア後はお約束の高難易度モード、2週目/3週目が待ってるぞ!大体3キャラくらい作る頃にはあらゆるビルドを育てたくなって来るし、1回死んだらキャラロストのハードコアも完備!これで無限に遊べるよ、やったね!

常に緊張感のあるプレイを求められる、珠玉のゲームバランス

プレイヤーのレベルに合わせて敵のレベルはある程度ダイナミックスケールで変動しており、どういうビルドを選んだとしても(少なくともノーマルの間は)ちゃんとゲームになります。シナジーを考慮したスキル構成や装備の耐性に頭を悩ませながら、徐々にキャラを強くしていくハクスラの醍醐味が存分に味わえます。上位難易度に移行する頃からは自然とスキルの試行錯誤と装備の吟味が求められて行き、システムについて理解すればするほどビルドの自由度と楽しさも上がっていきます。すなわち、『知識は裏切らない』そして『やればやるほど面白い』

何より、マスタリー(クラス)・スキル・装備・星座やコンポーネントなどこれだけ複雑なシステムの全てが絶妙に噛み合い、ゲームの最初からエンドコンテンツまで通して『ヌルすぎ、あるいは逆に難しすぎてゲームになってないように思う瞬間』が全くありません。目につく敵を殲滅しながら自然にストーリーを進めていけば、最高難易度のアルティメットをクリアする頃に丁度レベルキャップに達するかどうかという経験値バランスも良し。DLCコンテンツである坩堝を回したり延々ファーミングしたりで先にレベリングすることも可能ですが、しかしレベルが上がることが必ずしもメリットだけでは無く、装備とスキル構成が伴わなければ過度のレベリングは逆にキツくなる(こっちのレベルが上がると敵もそれに応じて強くなるので)など、その珠玉のゲームバランスは特筆に値します。開発のハクスラ愛と丁寧な調整のたまものでしょう。個人的に、慣れてきたらハードコアで時間をドブに捨てまくるのがイチオシ。

美麗なグラフィックと綿密に構築された世界観

グラフィックは基本的に軽快かつ美麗。描画クオリティ最高だと要求スペックはそれなりに高くなり、キャラが強くなってきて範囲攻撃と追加効果が複数組み合わさったりしてエフェクトがゴリゴリ出てくる頃にはかなりのハイスペPCでも程よい処理落ちが楽しめます。

※PC環境によりますが、スペック充分なのに定期的なカクつきが気になる場合、面倒でもBIOS設定でCPUのハイパースレッディング設定をオフにしてみると改善する場合があります。

アクティブスキルとそれに付随するパッシブ効果、さらにそれをトリガーに星座スキル発動、さらにはアイテムスキルまで…なんて感じで、少ない操作でガンガンいろんなスキルが発動してエフェクトが出るので、ビルドにもよりますが戦闘は結構派手になります。特にイーサーファイヤ燃えまくり爆発起きまくりの『戦いの平原』なんかは結構重い。(描画クオリティを抑えればちょっと前のPCでも充分いけます)

Diabloみたいにマップがランダム生成でもいいなあと思わないこともないですが、立体交差も交えて本当に迷宮じみた広いダンジョンや、各地に点在する隠し部屋、1キャラ1回しか開けられないシークレットチェストなど、ランダムマップではやりにくいであろう世界の作り込みは、これはこれで素晴らしい。広大なマップは、メインストーリーの進行上は行かなくてもいい場所も多いが、それぞれの場所にバックストーリー(ドキュメント)やサイドクエストが散りばめられており、探索すればちゃんとご褒美があるため、マップを埋めるのが好きorマップを埋めなきゃ気がすまない人にも嬉しい。

ハクスラ愛、ユーザー愛に基づいた積極的な開発姿勢

「一度探索済みで地図がわかっているエリアを再起動後のプレイで再探索すると、『今回のプレイでの』探索済みエリアがマップ(ミニマップでなくMで表示される方)で微妙な色違いで表示される(プレイ毎での探索範囲がわかるのでバウンティの捜索や狩りがストレスフリーに)」←これは良機能ながら知らないと気付きにくい仕様だと思いますので書いておきます。

「クラフトに使用するコンポーネントに倉庫から直接アクセス可能になった(いちいち素材をインベントリに移したり、作りたいものがあるたびに素材を調べて在庫確認をしていた手間が不要に)」

などなど、細かいですが確実なプレイアビリティの向上により良ゲーぶりにどんどん磨きがかかっています。こういう、ユーザーの遊びやすさをちゃんと考えてくれてることが伝わってくる堅実な開発姿勢、他のメーカーにもぜひ見習って欲しいと思います。

セール待てば50%オフくらいまで下がりますが、個人的には5,980円くらいの値段のゲームにも全く劣らない作品だと思います。拡張と合わせたら、1万出しても惜しくないです。でもそんなにしないので浮いた分をGrim Dawnコミュニティの功労者の方々に寄付しようと思います。

Diablo2にあってGrim Dawnにないもの

以下、2017/11追記
Battle. netのようなオープンで大規模なゲーム内コミュニティ。全体チャットや待機所チャットに類するものもなく、ゲーム内でのコミュニケーションはルーム限定。フレンド以外のプレイヤーとの出会いは野良部屋や外部サービス(Steamコミュニティなど)しかなく、やはり全盛期のBattle. netのように四六時中「誰か知らないけど誰かが喋ってる」というような雑多なMMO感、というか「寂しくない感」はGrim Dawnにはない(Dia2のルーム同時プレイ可能人数は8人で、厳密にMMOに分類するかは諸説別れるところだが、Battle. netのオープンチャットや国別チャットチャンネルの存在はLineageなどの純正MMOに遜色ない大規模コミュニティを形成していた)。あくまで主体をゲームとしてそのゲーム内で完結する大きなコミュニティの不在、多くのゲームを扱うSteamコミュニティは、その開放性故にBattle. netの代用とはなり得ない。

Grim Dawnにおいてはルーム作成時にPvPオフが主流なことからオープン部屋での殺伐としたプレイヤーキルも起きませんし、Duel(合意でのPvP)に関してもほとんどのプレイヤーは手を出していない、完全coop重視の牧歌的な世界となっています。例えば、Dia2でハードコア・ラダーキャラクターをオープン部屋でプレイしている時は、他プレイヤーがインしてくる度に、その知らない誰かがいつhostileしてくるかもしれないヒリヒリするような緊張感に晒され、自分がそのプレイヤーキャラクターそのものであるかのような没入感(冒険している感)が生まれたものですが(またそういうだまし討ちみたいなことで人のキャラ殺して大喜びするねじ曲がった外人プレイヤーがいっぱい居たんだ当時は。時代かね?)、Grim Dawnにおいて同種の感覚を味わうのは(同じハードコア野良部屋でも)難しいと思います。

また、MODやチートに寛容な姿勢ゆえに(というかオープンサーバもラダーもないため、「開発」はいても「運営」はいない。セーブデータもローカル化自由ですのでチートは野放し。野放しで問題ないゲームデザインに狙ってしていると言える)、残念ながらDia2のような(オープンチャットで取引が行われる様子を多くのプレイヤーが見ることによって共通認識として特定のアイテムに通貨価値が、さらに「相場」が生まれるという、原始経済そのものに近い)トレード文化は現時点でありませんし、おそらく今後も生まれません。せいぜい野良部屋や仲間内で「○○持ってない?俺の○○と交換しない?」「いいよ/やだ」といったやり取りがある程度で、野良の場合はそのアイテムが「綺麗な」ものである保証も一切ありません。

Grim Dawnでは、チート嫌いでも「自分はチートしない」「(チート由来のアイテムに触りたくなければ)野良部屋で見ず知らずの人とトレードしない」以上の他人への働きかけはできないし、ラダーシステムのような「運営によるチート対策」も当然ない、極めて個人的・自由主義なゲーム世界です。このへんはDia2のオープンゲームに近いです。例えば、前述のハードコア野良部屋の例にしても、アルティメットを協力プレイしていた外人があっさりエネミーにやられてご愁傷様…と思ったら、数分後に同じキャラがちょっとレベルが巻き戻った状態で(バックアップを復旧させて)戻ってきたりするのはご愛嬌です。
(Diablo2のラダーゲームもチーターを完全に排除できたわけではありませんが、運営による複製アイテム削除やアカウントBANなどの対策は時折取られていました。)

ラダーシステムが無いのは時間的制約や競争心からの解放を生みましたが、それらがあるからこそのワクワクというのも確かに存在するのだと、Grim DawnとDiablo2を並行してプレイしていると感じます。

また、ゲーム自体がDiablo2を明確に意識している故にサウンドトラックの醸し出す雰囲気も似通っており、部分的にかっこいいフレーズが流れたりはしますが(Actボス戦など)残念ながら「Tristram」のような作品を象徴する程の名曲がGrim Dawnには無いかなと思います。

Grim DawnにあってDiablo2にないもの

多彩なクエスト、MIレア、多数のレジェンダリーアイテム(Diablo2のユニークの数とは文字通り桁が違う)、強力で実用的なセット効果、エクストラダンジョンとそのボスの落とすMIレジェンダリーといったエンドコンテンツはGrim Dawnが誇れる強み。掘っても掘っても尽きることのないアイテムの数々はプレイ時間を無限に伸ばすこと請け合いです。エキストラダンジョンのボスがレジェを落とさないから飽きてきた?ならこっちのダンジョンもありますよ!坩堝もありますよ!ってな具合です。

Diablo2ではHellラスボスクリア後のビルド強化、レベルアップはラスボスマラソンや牛(エクストラマップ)といった(ビルドによって得意先が異なる)単調なトレハンに終わりがちで最終装備として有用なユニークの種類もごく少なく、セットアイテムは一部育成に有用なものと本当にごく一部の最終装備級の性能のものを除いてほぼゴミ。結果ビルドの最終装備はほぼ似たようなものになることに加え、レベルキャップ到達が余りにも遠い経験値曲線によって(スキルとステータスポイント面で)ビルドの完成点を「ココ!」と定めにくいゲームデザインは賛否が別れるところでした。

対してGrim Dawnはレベルキャップ到達に要する時間が比較にならないほど短く、レベルキャップを前提にしたビルドメイクをする限り、スキル・ステータス・星座ポイント振りに関して曖昧な点がありません。これによって実際にプレイする前に思う存分ポイント振りをシミュレーションし、完成型を明確にイメージすることができます。

Diablo2の1キャラをどこまででも追求できる(装備の可変値の追求+レベルキャップという見果てぬ夢に向かって)というスタイルに、Grim Dawnは可変値の追求はそのまま、レベリングの部分はデュアルスキル+アイテム数大幅アップでビルドの幅を無限大にすることで見事に対抗した(より面白くなった)と言えます。

──閑話休題

Diablo2は、言わずと知れた伝説のゲームです。疑似MMOでありながら、同時代のUltima Online・Lineage・ラグナロクといった純正MMOと並び、独立したひとつの「社会」を形成していました。それは「ゲーム性」を超えるものであり、ゲームが「遊ぶ」ものであるとするなら、Diablo2は「Diablo2を生きる」とさえ言えるものでした。学校・仕事を終えて家に帰りBattle. netにログインすると、そこにもう一つの別世界があって、沢山の人がその中で実際に生きている。楽しさ余ってゲームの外に飛び出してギルドサイトと掲示板を設置して交流を深めたり、現実でオフ会を開催するギルドなども数多く存在しました。インターネット・SNSもすっかり普及し、数多のMMOが時には無料でも遊べる今でこそ、そんなことは当たり前になりましたが、その原点に初代DiabloとDiablo2の存在が根付いていることは間違いありません。

Grim Dawnの世界とコミュニティにそのようなものが生まれるかは今後の展開次第──いや、マルチ方面がこのシステムのままならば、個人的にはそれは難しいかと思います。そもそもDiablo2は「ハクスラ」どうこう以前に「ゲーム史」に名を残すというレベルの作品であり、結局どちらが上か、なんて結論を出すのも不粋な気がします。しかしながらソロ・あるいは完全に協力プレイのみ、個人的なゲーム体験という範囲に話を限定する限り、Grim Dawnのハクスラ・ビルドメイクゲーとしての「ゲーム性」はDiablo2を立派に超えていると言えます。

私にとっての『理想のハクスラ』を体現してくれて本当にありがとう!!

最後に、泣ける記事を貼っておきます。

『Grim Dawn』を死の間際まで遊び続けた父親、「不死の近衛兵」としてゲーム内で生きる[jp.automaton.am]

近衛兵Zedleeに、Ashes of Malmouthを遊ばせてあげたかった。

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2 Comments
Pinkid Jul 16, 2018 @ 4:11am 
仰る通りですね
nyon3 [jp] Nov 21, 2017 @ 5:14pm 
良質の力作レブーだなにょ