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Posted: Jan 5, 2023 @ 7:50am
Updated: Jan 5, 2023 @ 7:54am

Dwarf Fortress(以下DF)はドワーフたちを働かせて拠点を作り・運営・防衛するコロニーシミュ&拠点防衛モノの作品です。本レビューではDFを初見・前知識ゼロ・mod無し・デフォルト設定で100時間ほどプレイした印象を書きます。(参考までに筆者はリムワ・ONI等の後発のコロニーシミュをいくつかプレイ済み)


【総評・まとめ】
初見だと非常に取っつきづらいです。
知識ゼロではじめるならそれなりの覚悟が必要。

でも色々理解できると超たのしい。すごくたのしい。It’s so fun.
拠点マネジメント大好きな人や『ぼくのかんがえたさいきょうの要塞』を作るのが好きな人にとてもおすすめ。
ただしちょっとバグ有。


●よかったところ
・コロニーシミュとして良バランスでたのしい
・高さの概念があり、三次元的に山や地面を掘って地形を変えられる
・いろいろなタイプの襲撃がある
・↑つまり拠点建設やキルゾーン作るのが最高にたのしい
・世界の歴史や人/物の凝ったフレーバーテキスト
・いい雰囲気のBGM


●良くも悪くもあるところ
・住人の職やアイテムの種類が多すぎる
・管理すべき項目も多すぎる(でもそこがたのしい)
・人口3桁になっても一部マイクロマネジメントが必要
こちらの資産に応じて襲撃者の強さが変わる(一応上限はあるっぽい?)
・わけのわからない初見殺し多数


●残念だったところ
・最初はとにかくわからないことだらけ
・UIが洗練されておらず操作が手間なところもちらほら
・戦闘などの個別の効果音が乏しく迫力に欠ける
・(ゲーム中の)時間経過が早すぎて追えない
・大きめのバグがいくつか



●大まかなプレイスルー・雑感
 本作は、初見ではとにかくわからないことだらけでした。
 膨大な数のよくわからないアイテム(加工前の鉱石だけで80種類くらいある)・謎めいた施設/部品の使用方法・タスク管理のやりかた・部隊の運営UI・この世界の物理的な仕様等々。莫大な要素があるのはいいのですが、そのコンテンツ量に対してチュートリアルやUIが残念気味で、作中の説明が少なすぎます。
 一応タブの奥深く3回くらいクリックした先に説明が書いてあるところもあるものの、UIの粗さと相まって初見ではまず気づきません。コロニーシミュゲーには慣れているつもりの私でも1周目はうまくいかないことの連続でなかなかきつかったです。
 そのためよっぽどこの手のジャンルが好きか、あるいはそれなりにやり通す覚悟がないとこのへんの事情により途中で脱落するかもしれません。私はDFをプレイして、Rimworldなどの後発コロニーシミュのUIがいかに洗練されていたかを痛感しました。


 しかしそこをなんとか乗り越えて理解すると、想像以上に奥が深くて急激に楽しめるようになります。特に防衛システムの作り方(ギアの使い方やレバーLinkの仕方等)を理解してから設計をはじめるととてもたのしい。がんばって作ったキルゾーンで襲撃者たちを見事撃退できるともっとたのしい。
 このへんの面白さはさすがDFといったところ、さすがコロニーシミュゲーの開祖的存在だと思います。そりゃこれだけ面白ければ後発の同ジャンルゲーがたくさん出るよね、という納得の出来です。イマイチなUIやバグを除くと今やっても意外と古さを感じません。とっつきづらいけどコロニーシミュゲー好きなら一度やっておいてもよいかも。





以下補足
●よかったところ補足
 本作は縦横だけでなく高さの概念もあり、地形を自由に変更可能です。
 つまり三次元的で自由度の高いマイクラじみた拠点建設が可能で、多様な地形や罠を駆使してどこまでも強固な要塞(Fortress)が作れます。また高さの概念があるゆえに、拠点入口に作った罠で襲撃者どもをはるか上空に吹き飛ばして遊んだりできるのが個人的にツボだった面白ポイント。この手の拠点防衛ゲーはやっぱりキルゾーン作るのが一番楽しいですね。
 そしてそんな要塞に対して毎年のように見たことない変な能力持ちの挑戦者(襲撃者)が現れるのも◎。

 またBGMについてはどれもいい感じですが、 FB出現した 時にかかるギターのしんみりしたBGMが特に良き。


●良くも悪くもあるところ補足
・人口多すぎ+仕事の種類多すぎ+複雑すぎ
 DFでも後発のコロニーシミュゲーと同様に個々のドワーフたちの性格や所持技能が異なるため、適材適所に配置しなければなりません。
 しかし、例えばリムワでは拠点内の人口は多くてもせいぜい30~50人とかでしたが、DFの場合は軽く人口100人200人と増えます。さらにいうとDFの住人にはリムワの3倍くらい職種があります。これら多種多様のたくさんのドワーフたちにうまいこと仕事を割り振らないと鬱になったり発狂するドワーフも出てきてしまうので、このへんの管理が面白い反面とても大変だと思いました。みんな似たようなヒゲ面したドワーフたち200人のリストの中から特定のドワーフを探し出すだけでも一苦労。だから開発さんはもうちょっとわかりやすいUIをですね・・・・・・。

・初見殺しについて
 ネタバレになるのであまり詳しくは書きません。基本死んで覚える。国内外問わずこの界隈のプレイヤーたちはそれを”Losing is so fun”などと宣っていますが、それを楽しめるか否かは好みが分かれるところ。死には至らなくても「えっ、なにそれ!?」という要素はたくさんあります。まあ少なくとも退屈はしないはず……。


●残念だったところ補足
 わからないこと多すぎ問題はさんざん書いたので割愛。

・効果音や時間経過について
 それっぽい効果音はなくもないのですが、個別に斬ったり殴ったり死んだりする効果音がほぼありません。音もなく戦い、音もなく死ぬ。またゲーム中の時間経過が早く、戦闘では瞬時に滝のようなログが流れて秒で決着がつきます。
 これら2つが合わさることで、プレイヤーが気づいた時にはもう戦闘が終わっていてあとでログを読むだけみたいなパターンが多いのがちょっと残念。死ぬとこちゃんと見たい。戦闘開始時の警告音や誰かが死んだときのペポッという通知音だけだとちょっと味気ないなと思いました。


・大きめのバグがいくつか
 ただでさえ動かし方のわからないものが多い本作に於いて、中にはバグで実際に動かないのが”正しい”みたいなパターンもあるせいで余計混迷を深めている感があります。

 例えばアーチャーの矢(Bolt)。矢の備蓄はたくさんあるのに矢を装備してくれないバグだか仕様だかがあります。おかげで弓使い部隊を作っても弓だけ持って戦場に行って弓で敵を殴る始末。弓使い(物理)。ああ、弓使いってそういう・・・・・・。このバグ?のせいで射撃トレーニングすらままなりません。
 しかも終盤に出てくるおそろしい獣達の中には遠距離攻撃しか効かない相手もいるので場合によっては詰みます。広範囲のほぼ即死火炎ブレスを毎秒3発くらいまき散らしながら走りまわるこんな化け物(近接攻撃無効)相手に射撃なしでどうしろというんじゃ。無理だるろぉ。おおん?(全滅)

 このバグ対処のために丸一日悩んで海外のコミュニティで調べまくった結果、BoltについてはBins(箱のようなもの)に収納した矢は取らないのと、一度地面に落ちた矢も拾ってくれないらしい(?)。しかも一度落ちた矢は以後永久にスタックせず、もし拾っても矢を1本しか装備できないという。矢を1本だけ持って戦場に向かうドワーフたち。矢を1本射ったらあとはまた走っていっていつものようにクロスボウで殴ります。
 そもそも最初からなんかこいつら挙動がおかしいと思ってたんだよ。でも単に自分の操作が間違ってるor知識不足かなと思ってたけど、まさかクロスボウを鈍器にするのがある意味"正常な挙動"だったとは……。操作方法がわからなくて正しく動かせないことと、そういうバグ由来のものが混ざってだいぶ混乱しました。


 というわけで、どうやら本作はSteamに移植される前の旧版の伝統的なバグもほぼそのまま引き継いでる模様です。もう何年も直ってないっぽいですし、少人数開発らしく今後も修正に時間がかかりそうなので、プレイするならもうそういうものだと割り切って遊ぶ度量の広さが要求されます。もしDFやるならそのへんの覚悟を。
 でも細かいこと気にしなければたのしいはたのしいよ。It's so fun.
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1 Comments
makise_sora / 牧瀬空 [JP] Jan 5, 2023 @ 8:59am 
購入を検討しているので非常に参考になりました!

無料版だとDwarf therapist(これがないとやっていけないレベルの神ツール。Rimworldで言うところの各メンバーに役職を割り当てるアレ)があるのですが、steam版はまだないようで色々大変みたいですね…

SEに関しては無料版だとSoundSenseがあるため、steam版もワークショップを探せば似たようなのがあるかもしれません。