かつてのフリーゲーマー達へ。

かつて日本にはフリーゲームという文化があった。
個人個人が思い思いのアイデアを下手なプログラミングやツクールで実装し、しかしその独特のぎこちなさと個性豊かさ故にフリーゲームは私達の思い出となり、あるいは無数の名作が生まれた。

しかし現代を翻ってどうだろう。
確かに名作は増えている。どんどん増えている。
だけどフリーゲームを漁っていた方々よ、どうか自分の若い頃を思い出して欲しい。
あなたは「名作」がやりたくてフリーゲームを漁っていたのか？
私は違うと思うんだ。



そうだね、確かに名作は面白いよ。

洞窟物語、イストワール、Ruina、シルフェイド幻想譚、elona、ゆめにっき、Ib、魔女の家、寄生ジョーカー、レミュオールの錬金術師、ゲーム発展途上国、魔王物語物語、Seraphic Blue、らじおぞんで、盗人講座、四月馬鹿たちの宴、夜明けの口笛吹き、らんだむダンジョン、ディアボロの大冒険、分裂ガール、タオルケットをもう一度。アンディーメンテやステッパーズ・ストッパーズ製の何か、無数のVIPRPG。
同作者のゲームは2個以上記述していないし、入れ損ねたものもたくさんあるだろう。
プレイしてないものも載せてしまったけど、プレイしたものは確かに全部面白かったよ。全部覚えてる。
いりす症候群！は45万点出すまでやりこんだし、レミュ金は何時間プレイしたか考えたくもない。



だけど思い出してほしいんだ。
そして開き直してほしいんだ。
君の心の、本当のゲームフォルダをさ。



君の子供の頃の思い出に本当に残っているものはなんだい？
君が子供の頃に本当にワクワクしながら探検していたものはなんだい？

違うだろう？

「名作」じゃないだろう？

保証された感動なんてくだらないものを求めて君はゲームサイトを漁ってやいやしなかっただろう？

Vectorやフリーゲーム夢幻やふりーむ！を漁り、本当に無名の、誰も知らないようなゲームだのに、信じられないくらいよく出来ていて、あるいは不出来だのに何故かハマってしまって、そういうゲームこそがきっと、小さな君のかけがえのない、一人だけの思い出だったはずだろう？

私はそう思うんだ。



私はあの世界を取り戻したい。

名作で溢れる世界に、小説やアニメや映画や漫画はおろかゲームすら、人生の時間全てを使っても名作を制覇できなくなってしまった世界でそれでも、
私はフリーゲームを漁る楽しさを現代に蘇らせたい。



だけど一つ問題があるんだ。
私と同じ世代の人たちはもう働いているか、もしくは働く直前の年齢なんだ。
もう彼ら彼女らには、フリーゲームを漁る時間なんてありゃしないんだ。
名作をプレイするしかないんだ。「保証された感動」という、どこか哀しいコンテンツを貪って生きていくしか無いんだ。
それはとても、とても哀しい無数の物語なんだ。

ところで私の人生は壊れてしまった。
あと何年生きていられるかの保証もない。
椅子に1日中座れていたら、それだけで体調が良いと呼べるくらいには、私は病気になってしまった。

だから私が漁ろう。
今のSteamのIndie(s)はまさにあの頃のフリーゲーム界と一緒だ。
君には時間がない。だけど金はあるはずだ。
君が果たせない事を私がやるよ。
そしてクソゲーもほどほどにぶち込もう。
保証された感動以上に哀しいものなど、この世に何も無いのだから。