PC/PADでプレイしました。評価についてはかなり迷いましたが、今の段階ではあまりおすすめできません。
期待との最も大きなギャップはドリフトの本来持つ楽しさとゲームシステムが噛み合わないこと。

■マップの設計
　日本を舞台にする以上は仕方がないのかもしれませんが、NPCが往来するかなりタイトな道幅を走ることになります。
　住宅街のような場所で狭く鋭いUターンをすることが多々ありますが、接触やスピンに対するペナルティは厳しいです。　
■クリッピングポイント
　これはかなり苦痛です。正直足枷にしかなっていませんし、このしょうもないシステムのせいでありえない突っ込みを強要されたり、まだ余裕があるのにアクセルを緩めてシャバいドリフトをする羽目になります。ケツから突っ込むとドリフト判定にならないのもまた始末が悪い。
　Rise of the Scorpionの時点で嫌な予感はしていましたが、製品版でも改善されませんでしたね。
　
■グラフィック
　海外のスタジオにも関わらず日本の（ような）峠の風景をうまく再現できていると思います。
　車のモデリングはかなり正確です。インディーにも関わらずコクピットビューまで実装されているのには驚きました。
■音楽
　かなり収録曲が多くてビックリです。J-Popやシティポップ的な曲もあってよかった。特にHiphopとPhonk……最高だぜ。
■車の挙動
　シムほどではないが荷重移動を感じられるリアル寄りの挙動。特にパッドでのクラッチ蹴りを実装したのはかなり画期的です。
　四駆の挙動はなんか納得いかないけど、許容範囲ではありました。

お前シムじゃないんだからそんな真面目ぶんなよ！！
正直なところ僕はD1やFormula Driftのような競技化された”おキレイな”ドリフトではなく、公道レースとしてのドリフトが好きです。
なので現状の「大金掛けたスタンス系の愛車を大事大事しながらドリフトポイントを稼ぐ」JDMは後者のフリをした前者にしか見えず、あまり愛着を持てずにいます。
ぶつかったらダメ、スピンしたらダメ。GT7のルールと操作性で頭文字Dアーケードやれって言われてるようなものです。

ゲーム性との落としどころは難しいでしょうが、どうせ違法行為なんだから採点とか綺麗さとか割とどうでもよくて、山奥でボコボコの車を転がしてただ自由に楽しむ。
ゲームでお手軽にそんな体験ができるかもと2年間待っていましたが、残念ながら思っていたものとは違いました。
ただし、改善の余地は十分あると思います。

普段レビューはあまり書かないのですが、楽しみにしていただけにネガティブな感情が沸いてきたので発散させておきます。

初期ミッションがハードすぎる

これまでにありそうでなかった日本っぽいオープンワールドレースゲーム。
最後まで非常に楽しく遊べましたが、一方でこれまでにないゲームを作る制作側の苦労も各所に感じられました。


日本のゲームファンは、日本のゲーム会社が作る忠実な日本と同じぐらい、海外のゲーム会社が作る日本っぽいゲームも大好きです。
このゲームではそんな日本っぽいけれど少し変な日本がうまく描けていると思います。群玉県はもちろん、ストーリーを描く漫画など随所に感じられます。
クリア後に貰えた車が デコトラ だった時は感動すらしました。

群玉県内のあらゆる場所を走るのが楽しい。私がこれまでの遊んできたレースゲームの中で最も様々な『日本』を走る事ができました。
日本人が「群玉県は実在しないのに、なぜか走った事がある」と思えるオープンワールドを作っていただきありがとうございます。
右上の謎の施設（水産ターミナル？）へ行ける日を楽しみにしています。

FRはもちろん4WDでも滑りやすくドリフト走行がしやすいです。
滑りやすいが故に初心者には操作が難しく感じる弊害もあると思いますが、態勢を調整してキープする楽しさが伝わると嬉しいなと。

現段階でもパーツが充実していて、外装・内装共に個性を出せます。
マフラーをタケヤリにできるレースゲーム最高。



より多くのプレイヤーにクリアを達成し、群玉県を自由に走り回れるようにするためにミッションの難易度を下げる必要があると思います。
特に1章ラストのミッションは、これまでのミッションで経験していない環境（夜間・狭い道など）での戦いとなるため、シンプルに『1着を取る』だけで良いと思います。

日本人が数多くの海外ゲームをやる際に一番気になっているのが簡体語フォントです。他の方も指摘していますが、 日本へのこだわりを日本語フォントへの置き換えで応えてくれると嬉しいです。

上記修正点とも重なりますが、道路標識が忠実な一方で街中の看板のバリエーションの少なさ・クオリティが非常に気になります。
文字が細く弱々しいゴシック体ばかりで『日本語の看板』はいっぱいあるのですが、『日本らしい看板』がない。ターボツナハウスも例外ではありません。
今後アップデートが予定されているデカールなどと併せて、デザインコンテストなどを開催すれば多くの日本人から応募があるのではないでしょうか。


車種・パーツ・機能の追加など、これからのアップデートが楽しみになるゲームです。
レッツドリフト！