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72.7 hrs on record
とりあえず終えたのでネタバレ込みで記述。(全てノーマル難度)何よりキチンと発売された事が喜ばしいと言わざるを得ない程にヒヤヒヤしたリメイクだったのでまずは良かった。
ただどの層を狙って作ったのかと言えばやはり旧作プレイ済みの古参プレイヤーなのだろうなとプレイしてみて改めて感じる程に原版と同じでまず驚いた。ここまで寄せる必要あるか?と思う位に同じである。その為直前に原版のEnhanced Edition等をプレイしていたりすると内容はほぼ同じな為、進め方に違いがある訳でも無いのでそういった意味では新鮮味は皆無だと言える。だがクラファン故初期にオリジナリティを多分に加えたモノを作ってバッガーたちに総スカン食った経緯があるので極力オリジナル要素は排除した結果かもしれない。個人的には別にそれでも構わんだろって気もしたんだが。

グラフィクやサウンド等UI含め如何にも一見今時な感じにしてはあるが、それでも今風かと言われると「?」がつく程UIは洗練されてはおらず個人的には古い面倒臭さを残してやらせたかったのか快適にやらせたいのかどっちつかずな印象を受けた。それでも原版が面倒臭過ぎるので大分快適にはなっているのは確か。
グラフィックはわざとデグレードさせた様なレンダリング(Pixel Shader?)をしておりこの辺はDos時代のソフトレンダを彷彿させたかったんだろうが、正直そこまでせんで良いだろとは思った。案の定コミュニティでは非難轟々でせめてオプションで選べる様にしろとか散々な言われ様。面白い試みだとは思うが。
後これも方々で散々言われているが、日本語に関してはフォントが潰れている上に改行もまともに出来ていなかったりで見辛くなってしまっていて折角丁寧に訳されているのにこれのせいで実質使い物にならなくなってしまっている。実に勿体無い。何とか修正してもらいたい所ではあるが、英語でのプレイには全く支障が無いのとコンソール版が発売されるのであればそれまで放置される可能性の方が高そう。その為現状では英語が大丈夫なら英語でプレイするのを推奨する。

まず真っ先に違いを感じるのはそのUIだろう。特にインベントリはほぼSS2の物を踏襲している感じで原版のテキストのみのインベントリでは無くなった為見た目的にはかなり扱い易くなった…が、ただこのインベントリに関しては厄介な部分も含まれており、それは何かと言えば単純に「持ち運べる容量が原版の半分以下」と言う事に尽きる。(一応途中で一度拡張されるがそれでも少ない)これが問題になるのはほぼ終盤の頃であり、原版プレイ済みの人間であれば大体予想はつくのである程度対策は取れるが知らないと最終局面で「アイテム全部置き去り問題」が発生する。特に武器は容量が大きい為持ち運びと入れ替えが相当面倒臭い事になってしまっている。武器種は原版に比べ少し絞られてはいるが、新たに追加された分を含めると結局同程度に武器種は有り当然各武器弾種も別れているので更に厄介。また取捨選択を取る場合でも所謂「死に武器」が分かっていれば良いが初回プレイ時はそうもいかないだろう。
当然こうなってくると所謂スタッシュが欲しい訳だが、一応それっぽい一見便利そうな「カーゴリフト」なる物が用意されてはいる。ただこれまた容量がかなり少なく消耗品程度しか収納出来ないの上に最終フロアであるブリッジでは当然機能しないので「無いよりマシ」と言う程度の物。結局各階のカーゴリフトがある医療室やエレベーター(ほぼセーフハウス)をスタッシュ代わりに使う感じになる。これは原版も同じだが後半は武器種が増えるとは言え倒した敵がドロップする弾薬に依存するきらいがあるので結局その武器に絞った方が効率が良くなる。また武器によってはセカンダリが追加されたせいで原版と挙動が違う物も多いのでその辺りでも使い勝手が変わってくる。
その他UI周りでは原版でただのお飾りだった「Biological Monitor」で常に心拍数(疲労)を把握出来る様になったのは有り難い。ただ左右にあるバッテリーを消費するアクティブタイプのHardware Attachmentは常にアイコン表示しておいて欲しかった。実際にアクティブになっているかはターボブーツは動けば判断出来るが、初期のシールドは画面エフェクト弱過ぎで分かりにくいし防護スーツに至っては全く判らないので切り忘れや入れ忘れが結構発生する。

次に全体のロケーションについてだがこれはもう原版にほぼ忠実に再現していると思って構わない出来。実際には細々と拡張、省略等されてはいるがプレイしていて「ああ此処か」と判断出来る程度に再現されている。隠しドア等シークレットの場所もほぼそのままである。逆に新たに追加されたオブジェクトは自販機やリサイクラー位で本当に違和感が無い位に再現しているのは中々見事。個人的に有り難かったのはリアクターの医療室がかなりアクセスが良くなっていた事か。本来面倒なレベルであるがリマップによって攻略が原版に比べ大分楽になったのを一番感じた箇所だった。放射能除去装置も追加されていて更に便利。
また今作で「自販機」が導入されたのでこれまたSS2よろしく「通貨」も導入されている。しかもまさかの現金。この辺は原版で無意味だった「Vaporize」を有効化させる為のフィーチャーかもしれない。積極的にジャンク品を換金して行かないと結構所持金的には辛いバランスとなっているのでこの辺横着していると後でアップグレードで泣きを見る羽目になるので注意した方が良い。ちなみに後半で少し出てくる「キャッシュカード」はATMでちゃんと引き出せるので誤ってスクラップにしない様に。

そしてCyberspaceだがこちらはガラリと変わっていて、ある意味原版の面影が一番薄い箇所かもしれない。これはもうハッキリ「遊び易くなった」と言いきってしまって良い出来。と言うより分かりやすくなったと言うべきか。原版のワイヤーフレームメイズに比べ大分迷い辛い筈。またオブジェクト等もスッキリしており、邪魔でウザかった破壊不能のダメージブロックが破壊可能な機雷に変わったのも有り難いし、基本的には「ドアロック解除」だけが目的になったので原版にあった情報等も読む必要が無くなり何より厄介な「時間制限が無くなった」のが一番大きい。敵の配置もいきなり囲まれている様な理不尽な箇所は無くちゃんと敵が壁から湧くシークエンスがありこちらも身構えられるので格段に戦い易くなった。自身の装備もある程度変更されており、まずシールドが無くなってしまったので原版以上に被弾が許されない感じの難易度にはなっている。リコールやデコイは一度使うと無くなるので再度取得出来ない所だとそのまま無くなってしまうので使い回す場合は注意が必要(と言っても初回プレイ時は分かり様が無いが)またICEドリルは原版と違い敵のシールド潰しだけでなくちゃんとダメージにもなるのでパルサーだけでなく一緒にガンガン撃ち込んでいくと良い。


メインとなる戦闘に関しては原版よりは大分易しくなっていると感じた。相変わらず主人公がヘッポコなのは変わらないのだが、それでも若干の打たれ強さは増していると感じる位には攻撃に割と耐えられる。原版の敵の攻撃がほぼ全て「ヒットスキャン(即ダメ)」だった事を考えると大分戦い易くなったのは見て明らか。ただヒットスキャンでは無いからと言って別に避けられる訳では無い(敵にもよるが)のでその辺は相変わらず過信は出来ない。特にHopperやSecuritybot1の攻撃等はほぼヒットスキャンも同様なのでカバーを取ってなければ回避不能となる。ここはやはり原版通り基本カバーを取って戦うのがベストとなる。ただこのカバー、左側にリーンする場合銃身の位置に気を付けないと手前の壁に被弾してしまいがちなのが鬱陶しく感じた。ADS動作も微妙過ぎて使い物にならないので(正直あれだったら無くて良い)こんな箇所だけ妙にリアルにしないで欲しい。
そして原版で厄介だったリスポーンも勿論今作でも健在。だが原版と違ってリスポーンポイントはほぼ固定となっており、突如後ろに湧いていたりとかもなく床のプラットフォームから補充される様子が確認出来る。その為ある程度リスポーンする箇所を覚えておけばそこまで怯える必要は無くなった。また各レベルのセキュリティレベルを0にしてしまえばその後リスポーンは発生しなくなる。但しイベント等でリスポーンする箇所は無限湧きするので(自爆設定後のリアクター等)そこは注意。
敵の種類に関しては若干手直しや追加が入っているものの、これまた原版を忠実に再現されていて「ああコイツか」となる事請け合いである。配備箇所もほぼ同じなので対策が取り易かった。前述した通り原版では殆どの敵が「超反応&ヒットスキャン」攻撃一辺倒だったのに対して反応は控え目になり慎重に進んで行けば大分先手を取り易くなっている。見つかって戦闘状態になってもその場から即離れると、しつこく追ってくるのはAlpha Strain Mutant位でその他の敵は割とすぐ諦めて持ち場に戻ってしまう。ゲームの性格上「大量の敵に囲まれる」というケースは殆ど無いので余程強気で突っ込んで行ったりしなければ原版に比べ死に辛い筈。但し相変わらず回復手段は限定されている為景気良く使っているとジリ貧になるのは同じなのでセーブは小まめにした方が良い。
ボス戦も大分らしく作り直されており原版と違って広いロケーションでいかにも「さぁボス戦だ」な感じで戦わせて貰えるのも良かった。
余談だが敵の死体が残るのは良いが、ラグドールの動作がおかしいせいでプルプル震えていたりと別の意味で気持ち悪いので何とかして欲しい。

音周りに関してはSEは勿論曲も完全に別物に仕上がっている。これはもう仕方ないだろう。現行のグラフィックに原版の軽めの曲調は確かに雰囲気に齟齬が生じる可能性がある。一応曲によっては原曲のフレーズは良く聴くと多少なりとも混ぜ込まれており(リアクターとかが分かり易い)アレンジの苦労が伺える。全体的にアンビエントで静かな曲になっており、戦闘に入るとここは原版同様勿論ダイナミックに戦闘曲に変わる。しかし残念ながら耳に残る様な曲は少ない。その点ではやはり原曲の方が遥かに印象が強い曲だと改めて感じた(特にリサーチの曲)。原曲に忠実な曲はイントロとエレベーター位だろう。
音声ログも勿論録り直してある徹底振りだが、唯一SHODANの声だけTerri Brosiusが続投しているのは実に感慨深い図らいだと思った。

そして最後にこのゲームで最も変更が著しかった最終決戦の局面だが、ほぼエンディングの一部となっており原版の様に通常のCyberspace戦とはなっていない。Cyberspace内ではあるが通常のFPS操作と同じになっており武器も強制で一種のみで戦わされる事になる。ただここの手順が分かり辛く初回は訳が分からないかもしれない。SHODANを倒すと言うよりは「元に戻す」と言う流れなのでその辺も原版とは違う演出となっている。
イントロもそうだがエンディングでもテロップは一切表示されず、一応同じ流れではあるが淡々と終了するので最後は割とアッサリした感じになってしまっている。その為「三つ子の魂百まで」の締めの一文が拝めなかったのは残念。


結局何だかんだで楽しかったのは間違いないので文句無しでオススメ…ではあるが、正直新規さんが何処まで許容してくれるかが心配ではあるシステムだとは思う。だが原版をいきなりプレイするより断然こちらの方が良いと言い切ってしまって良い出来。気になったら原版もプレイしてみる程度で良いかと。Enhanced Editionがあるとは言え流石に今時のプレイヤーにあの原版はしんど過ぎるだろうし。
難産な作品ではあったであろうが何とか発売まで漕ぎ着けたスタッフには惜しみない賞賛を贈りたい。
Posted November 29, 2023.
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15.6 hrs on record
※ネタバレ有り

流石に最後であろうかと思いきや?…と思わせておいて。
原作者のSokal氏が惜しくも亡くなってしまったので、最終章かと思えば…まぁ一応知名度があるのでシリーズ物として保険を残しておいたのかもしれない。とか考えてしまって大団円で終わって欲しかった身としては若干モヤつく終わり方ではあるが、嬉しさも半分と言う所か。1からリアルタイムでプレイしてきた身となるとあの終わり方はある意味ファンサービス的かもしれない。と言うか最後の列車の中でKateが迷ってる段階で多くのプレイヤーがピンと来た感じではないだろうか?誰もが「やっぱりな」と思った筈。


ゲーム内容に関してはシリーズでも一番簡単な作品になると思う。とにかく前作がフル3Dになったのは良いが操作系含めバグだらけだったりと今一つな出来だったのでその反省もあったのだろうが、今回はキッチリ割り切って従来通りマウスのみで操作可能としマニュアル要らずで始められるお手軽仕様になっている。その辺りも手伝って難易度的な部分も前作から更に簡単になっており、言い過ぎかも知れないが謎解き部分は旧作に比べると半分以下のバランスになっている感じを受ける。殆どストーリーを読まされている感覚でフル3Dで作り込まれたマップもあくまで見た目重視で探索要素には殆ど寄与しておらず、若干勿体無く感じた。
ただこの「見た目重視」なグラフィックはADVに置いて、特に本作の様なプリレンダ時代から続いている様な作品には旧作からの古参ファンには何とも感慨深い物がある。前作でも結構頑張ってはいたが「もう一声」という感じだったのに対し今作はもう「Syberia」の雰囲気を醸し出すグラフィックとしては満点をあげたい出来。それ程に力が入ってるのは見て取れる。

肝心のストーリに関しては今回は「Voralberg」や「Youkol」は殆ど関わってこず、Kate自身の生い立ちを探る話になっておりSokal氏の幼少時代をある程度反映したものらしく名前こそ変えてはあるが、ある意味第二次大戦物と言える。その為道中は何度か祖母であるDanaの時代と操作キャラを入れ替えながらのザッピングでプレイする事になる。正直従来ならムービーで処理している様な箇所を無理やりインタラクティブにしていると感じる箇所も多く、そこはわざわざ操作させんで良いだろと何度か感じた。この辺をどう感じるかは匙加減なので一概に悪い部分とは言えない。
旧作からの古参ファンとしてはやはり仕掛け多めの方がらしいかなとは感じるが、あまりに厄介なパズルは今時のプレイヤーには嫌がられそうなのでこの塩梅は商売的には英断かと思う。そう感じる位に今回「Automaton」は絡んで来なくむしろただのモブとして存在している感じで若干寂しくも感じた。「Syberia」と言う単語すら殆ど出てこないので「作品タイトル的にどうなんよ?」とモヤつく感じではある。Oscarが残って居たのも唯一の作り手側の良心(?)かもしれない。(だが設定として「Automaton自体が既に廃れた文化」となっているので、関わってこないのはある意味自然とも言える。)
唯一Syberiaっぽく感じたのは「Gorun」と言う種族が出てきたトコ位で、彼等も突如出てきてどう言う種族かも掘り下げられてもいないので彼等がSyberiaと絡んで来ればギリ「Syberia」としての体裁を保てるかなとも感じた。エンディングから鑑みるも彼等絡みの続編への保険で出したのかもしれない。その為ストーリー的には前作の方が続き物としては出来は良かった気がする。


ただ新規プレイヤーに配慮した結果、全く前作とは関わらない様な話を仕立てたのかもしれないと思うと納得。この辺は前作の様にリリースに相当間が空いているにも拘わらず完全に続き物にしてしまうと新規さんは置いてきぼりになってしまうのに配慮したのかもしれない。そうなると当然セールスにも影響が出るのでこの辺は仕方ないかなと思う部分も。正直続編出ている段階で有り難いと思うし。


後はもう散々言われている「日本語訳の精度の低さ」。これを我慢出来るかに尽きる。一応意味は理解出来る位には訳されてはいるが、原文と読み比べるとあからさまに誤訳ってる箇所も相当多いので若干注意が必要。(特に応答の箇所)
機械翻訳だとしたら大した精度だとは思うが、人力でこれだとしたら今時は勘弁してくれと言うレベル。男女言葉や敬語が入り混じっていたり固有名詞が度々読みが違っていたりとかなり雰囲気を損なっている箇所も多い。今時の他作品に比べると一昔前のレベルで酷い。
まぁあるだけマシとも取れるが、個人的には英語OKな人は英語でプレイする事をオススメする。


古参的な視点を除けば十分に良い完成されたADVであるのは間違い無い。特に待ち望んだSyberiaのリアルタイムグラフィックを堪能出来るのは古参にも楽しめた部分であり、肩肘張らずにプレイできる難易度も良いと思う。前作での失態からの面目躍如といった所か。安心して万人にオススメ出来る作品。
音周りも引き続きInon Zur氏なので安心安定の出来。



余談:システム的にと言うか設定が同社が過去にリリースしていた「Still Life」と言う作品に相当似通っていてその辺もプレイしていた人間にはニヤリと来るかもしれない。Still Lifeも祖父の時代と入れ替わりで謎を解いて行く過程がかなり面白く好評だったので、個人的にはやはり懐かしくも楽しく感じた部分。「Still Life」も続編ではあったが、前作の「Post Mortem」がマイナー過ぎるのでSyberia程のヒット作には至らなかったのが残念。サイコホラー全開の作品でどちらも好きな作品だったが「Still Life 2」が凡作に落ちてしまったので後はお察しと言う感じ。
Posted April 29, 2022.
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23 people found this review helpful
2
43.6 hrs on record (43.6 hrs at review time)
※大幅にアップデートされたので追記。
まず実績の追加。そしてOpen GLとDirect3DでレンダリングAPIを選べる様になっており、その為要望の多かった16:9(4Kまで対応)表示が可能になっている。それに伴ってフォントやフェイスのアイコン等もブラッシュアップされて各々綺麗に描画されており非常に見易くなっている。HUDも横伸びにならないよう調整されている。
またアップデート前には非常に厄介だったコンフィグの類は全てゲーム内オプションで設定可能でありわざわざcontrols.cfgを書き換える必要も無くなった。
とりあえずコミュニティで要望の多かった件はほぼ反映されている様で、リリースから時間は大分経過してしまったとは言え、敢えてアップデートしてくれたNightdiveには敬意を表したいところだ。後はリメイクが空中分解しない事を祈る。



続編「3」の制作が決まったり、リメイクが発動したりと最近何かと賑やかなので却って今時の方が知名度上がったかもしれない伝説のゲーム。コイツがなければBioshockもDeusEXも無かったと思うと中々感慨深い。初出は94年と見事にDoomフィーバーの真っ最中にリリースされた為、ゲーム内容は先進的でありながらも市場からほぼ空気扱いされていた不遇の作品。一応日本語版がリリースされていたりと日本での扱いは悪くなかった筈だが、当時入手してプレイしていた人が何人居るやら…。

後発の2の方が知名度的には大きい為(それでも売れたとは言い難いが)「1」が存在する程度でしか知らず未プレイだった自分の様に「2→1」と言う順序でプレイした人が多いのではないかと。一応RPGを謳っていた筈だが2の様にスキルやステータスの育成要素は省かれており装備やアイテム類によって強化するのみに留まっている。その為ある意味自分自身は最後まで弱いままなので、実質戦闘に関してはリスポーンと回復の少なさも相まって最後まで苦戦を強いられると言う難易度。セーブは最大限に活用した方が良い。「Leanで覗き込んで攻撃」と言うのが基本になっておりDoomよろしく正面からのガチバトルはご法度なバランスで、この「Lean」の動作をまず覚えるのが重要となっている。動作周りでは他にも「Sprint」の概念がこの時代に導入されていたのも驚き。正確な数値は「Biological Monitor」で参照しないと分からないが、スタミナ(疲労)のステータスが設定されており常に走り続ける事は出来ない様になっている。また通常のFPSの様に単純に移動速度が上がると言う物ではなく、本当に「前方にしか」走れないと言う凝り様なのでこの辺も通常のFPSと同じ様に考えない方が良い。
また主人公は「ハッカー」とはなっているが、本作ではSS2以降であった様な自分が有利になる為に行うオフェンス的なハッキング要素は皆無なのでその辺も期待しない方が良い。設定、進行上の演出的な側面が強い。(Cyberspace)
基本的な流れはRebecca Lansingから送られてくるEメールに従う事になるが(2でのPolitoに相当)、これまた2の様にご丁寧に「Objective」と言う形で進捗は明示されないでのでキチンと自分で覚えておくしか無い。それに起因して各種ログは面倒でも極力目を通しておかないと確実に進行に詰まるので要注意。

戦闘に関して付け加えておくと、まず問題点として目に付くのはやはりSS2でも槍玉に挙がっていたリスポーンだが、3F、6F(各Grove。Beta Groveは特に厄介)、7F、9F(Autobomb迷路)が特に厳しく、発生する場所が限られている分SS2よりはマシと言えるがそれでも局所的にキツく感じた。発生するエリア及び敵の種類は限定されており、発生するエリア内では敵の種類毎に配備数が既定値以下に下がると場所はランダムで補充される仕様になっている。倒した瞬間後ろにリスポーンして撃たれたりとかザラなのでやたらめったら倒しまくってると却って囲まれたり通路塞がれたりと非常に厄介。従って初回プレイ時は戦闘の難易度は大人しく下げておいた方が無難とは思うが、最低難易度まで落としてしまうとリスポーン自体無くなるので流石にそこまで下げると緊張感が無くなってしまうのでお薦めしかねる。ダメージのみ下がる難易度1がお薦め。
後はこのゲームの象徴的な存在である「Cyberspace」。操作は打って変わってフライトシムの様な感じになり、侵入した途端敵に囲まれていると言うシチュが多く、こちらも操作に慣れるまで厄介な存在と言えるが各所それ程広い訳では無いのが救い。各階に侵入用の端末が用意されていてそこから侵入する形となる。中にはドアのロック解除や情報が点在しているので侵入して解除しておかないと当然進めなくなるし、後半戦までに武装(PulserやShield)も強化しておかないと辛くなるだけなので基本見つけたら侵入しておく。敵にやられ体力が0になると追い出されるだけではあるが、戻った際に疲労とダメージは被るのであまり体力の低い状態で侵入するのは危険。またCyberspace内はセーブ不可なのでセーブするなら侵入前に。
それとこのCyberspaceで一番やってはいけないのが「時間切れ」で、タイムアウトすると強制的に戻されそこにSHODANが放つ敵が雪崩込んでくる様になっている。時間がやばそうならRecallを使うなりで一旦戻った方が懸命。取得したアイテムや倒した敵等、中の状態はそのままなので戻る際のデメリットは何も無いから時間だけでなく体力的にもやばかったら積極的に戻る位でも構わない。

「Enhanced Edition」と言う事で念願のマウスルックが可能になってはいるが、それでも操作系のキーリマップに相当問題がある。勿論デフォルトでそのまま慣れてしまうのが一番良いのだが、兎に角使うキーが多過ぎて近年のFPSに慣れていたりするとかなり混乱するかもしれない。特にメインとなるアクションキーとファイアキーがマウスボタン左右に固定されしまっているので、これはもう「左手仕様」に変えるとかで誤魔化すしか無い。
そもそもオプションにキーリマップの項目が無く弄る事自体出来ないので「controls.cfg」を自分で書き換えると言う何とも懐かしい手段を取らなければならない。マウスの上下反転もこのcontrols.cfg弄らないと出来ないので注意。
解像度に関しても16:9に対応してくれれば尚良かったが残念ながら未対応。多分HUDのレイアウト的に無理かと思われる。この辺のビデオ周りの設定は「sschock.ini」で変更出来るがデフォルトで殆どの項目が最適な設定になっているのでウィンドウモードでやりたいとかでなければ下手に弄らない方が良い。特に解像度は「1024x768」が最高となっておりこれ以上で設定するとクラッシュするので絶対やらない様に。
後はこれまたDosゲーのお約束的弊害と言うか音周りも当時はSoudblaster準拠となっているだけで各ユーザーの環境に左右されまくりだったのでMIDI譜面で鳴らすしかないと言う事情があったせいか残念ながらベースとなっているGM音源用のかなり貧弱な音が流れる。曲自体は特にのっけに聞けるMedicalで流れる曲が非常に格好良い曲なのだがこの音源の問題のせいで残念な感じになっているのがもどかしい。
導入が若干面倒だがSoundfontを使えば多少音色の改善が図れるのでお試しあれ。


今プレイするには色々と問題が多いのは否めないが、それ等を差し引いても面白いのは間違いない。94年当時にこの内容のゲームをリリースしてたと思うと改めて驚愕する。特にSS2をプレイし気に入ったのであれば確実にやっておくべき内容と言い切ってしまって構わないだろう。
オーディオログの演出や監視カメラを破壊したり(今作の監視カメラは扱いが違うが)すぐ死ぬヘナチョコな主人公等SS2でのフィーチャーが成る程と思える事請け合いである。
ストーリーに関しては今回は明確にSHODANが敵となっており、2と違って黒幕的な存在とはなっていない。それを考えると2での演出は見事であったと改めて思い返してしまう。また2の敵である「The Many」の根源についても垣間見る事が出来たりと、ルーツを知っておく意味でもプレイする価値はあると思う。
Posted June 7, 2018. Last edited September 28, 2018.
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38 people found this review helpful
3 people found this review funny
32.1 hrs on record
※ネタバレ有り。
※パッチ1.2時点で一応修正前と修正後で2回プレイした所、初回プレイ時のクラッシュする様な大きい問題箇所はほぼ修正されていてパフォーマンス含めかなり安定してプレイ出来る様になっている。ただ一部スクリプトミスは修正されておらずそのままになっており、酷かったのが遊園地のローラーコースターのプラットフォームでのKurkとAyawaskaとの地下トンネルについての会話シーンで、会話が終了するとAyawaskaはその場を去るが、残ったKurkに話しかけるとまた3人での会話が発生してしまうと言う物。他にも細かいのが2、3箇所あったが割愛。いずれも進行が止まってしまう様な物ではないが、流れ的におかしく見てて萎えるのでさっさと修正される事を願う。またカットシーン含めセリフ等一切スキップ出来ないシステムもオートセーブのみと言う事も相まってストレスの溜まる要因なので何とかして貰いたい所。
※パッチ2.0がリリースされたので追記。あまりの不評振りに「マウスオンリーモード」と言う旧作に準拠した操作が導入された。結局旧作よろしくマウスのみでの操作が可能になっている(それに伴ってカーソルも見易く変更されKateの移動速度も速くなった)…が下記の操作系に記述してる複数アイコンの選択は相変わらず出来ない様で完全な「オンリー」ではない。キーボードのショートカットはそのままなので引き続きマウス+キーボードのプレイは可能だから結局それで何とかしろということなのか。起動時に出ていた「パッド操作推奨」の一文がシレッと消えていたりとかなりの迷走振りである。
またオートセーブは変わらないが、ロードは各セーブポイントから出来る様になっている。1.2時点でのスクリプトミス系が修正されているかは不明。(流石にもうプレイする気は無いので)


実に10年越しの続編と言う事で一体どの程度の人が国内で覚えていてくれてるのか甚だ疑問ではあるが、一応当時ADVでは異例のヒット作と言う事できちんと日本語版もリリースされたりしていたのでそこそこ記憶にある人も居るのではないだろうか?だが10年は長い。流石に内容も朧気ではあったが、プレイしている内に懐かしい単語や面子が出てくるので段々と「そう言やそうだった」みたいな感じで結構思い出すモンだなぁと感慨深くプレイ出来た事はまず喜ばしい。
かつてMicroidsが一度倒産していた事もあり、2の終わり方を含め正直続編は無いだろうと思っていたのだがその後噂が出ては消えみたいな感じだったりしたので個人的には完全ノーチェックだったからリリースが決まった時には若干驚いた。しかもフル3Dでと言うから尚更だった。

で、肝心の内容はと言うとKateとの再会を喜びたいのも束の間、まずはグラフィックが残念…は言い過ぎだが現代のグラフィック水準からすると一世代前のグラフィック準拠と言った感じで若干ガッカリな感じである。(特に水面や岩肌とか)エンジンがUnityと言う事もあって将来的にモバイルOS辺りにもリリースする事視野に入れているのか、敢えてグレードを落としているのかもしれないが。
初回プレイ時はパフォーマンスに大分問題あって異様に重かったがパッチで改善されたのか現在は快適に動作する。一応起動前にグラフィックのレベルが選べるので(3段階)Fastを選べば相当軽くはなるが、影が無くなったりと露骨に画質が落ちるのであまりオススメ出来ない。せめてNormalでプレイしたいところ。Syberia 1をプレイしていた当時プリレンダ背景の造形の見事さに(今見ても十分綺麗)驚いたもんだが「いつかこの背景もリアルタイムで描写される日が来るんだろうね」とか友人と話をしていたのを思い出してしまったが…もう少し頑張って欲しかった。
反面キャラクターのモデリングは悪く無くむしろSokal氏の独特なデザインを良く表現出来ていて雰囲気には抜群に合っていると思う。(極端にリアル寄りでない感じ)前作まではそのシステム上カットシーン以外のアップは無かったが、今作はフル3Dを活かして各々のキャラクターのアップがふんだんに使われていて実に表情豊かで良い感じ。特にKateの顔は大分変わってしまっているが個人的に今作のモデルの方が良いと思う。(好みの問題だが美人になったと思う)…が要所要所でアイテムを操作する時のKateの視点が定まってなくて怖かったりとこの辺りももう少し調整して貰いたい所。(手元を見ずに常に目の前の虚空に焦点が定まっている感じ。特に終盤のナイフを使ってレジンを切るシーンで良く分かる)それとこれもある程度仕方ないとは思うが、モブキャラの使い回しが多過ぎるのもちょっと萎える要素ではあった。せめて自分に関わってくるキャラ位は別モデルを用意して欲しい。(特にTavernのマスターとか)

システム的な所ではまずフル3Dと言う事で前作からガラリと操作方が変わっているのだが、これも賛否が激しい部分で個人的にはあまり気にならなかったがキーボード操作の場合カーソル操作が加わるのでTPS系の操作とポイントクリックのハイブリッドと言った趣。一応公式にはパッド操作を推奨しているので(ゲーム起動時のロード画面に表記有り)そちらでやる方が良いのだろうが、個人的にパッド操作は煩わくなる箇所(特にパズルギミックを操作する様な箇所、圧倒的にマウスの方が効率が良かった)が多かったのでキーボード(WASD)+マウスでプレイしたが特に問題無くプレイ出来た。どうしてもコンソール機準拠になってしまうので仕方ないのだが色々な面でパッド操作の方が優遇されているので大人しくパッドでプレイするのも悪くないと思う。以下にj詳しく書くがあくまでキーボード操作はオマケ程度に考えておいた方が良さ気な印象である。
まずクリッカブルポイントに複数アイコンが出る場合があるが、パッドの場合はXboxのボタン色で配色設置されているので分かり易いが、キーボード操作の場合クリッカブルポイントは同色のアイコンしか表示されずカーソルでは選べない様になっており下から左回りにフルキー「1、2、3、4」と割り振られているので注意。(会話シーンでショートカットキーが確認出来る)例えばアイテムを拾う前に調べたい場合は「3」で調べると言う感じ、クリックするといきなり拾ってしまう。インベントリは「ジャーナル」と「アイテム」とで分かれている程度で、インベントリ内での合成等も無いので特に迷わず使える筈。

そして従来と同じ「固定カメラ(フル3Dなのでカメラ周囲は若干見渡せる)」方式を取っている為移動キーはダイレクト方式なのだが、キーボード操作の場合カメラ切り替えポイントで補正がかからずそのまま移動キーを入れっぱにしていると進行方向が変わってしまう為Kateが行ったり来たりとその場をグルグル回ると言うマヌケな状態になるのでカメラ切り替えポイントでは気を付けたい。また今作からはKateを近付けないとクリッカブルポイントが表示されない方式も取っているので(全てでは無いが)これにも注意。当然ながら前作と比較すると移動出来る範囲が相当広くなっているので、この方式と相まってアイテムの見落としが発生しやすくなる。これ等もパッド操作の場合検索範囲が広くなる為キーボード操作よりクリッカブルポイントが見付け易かったり、カメラの切り替えポイントでキチンと移動補正もかかるのでその場で回ってしまうという事もなくどうしてもパッドでやらせたいんだなと言うのがヒシヒシと伝わってくる感じ。
折角のフル3Dなんだからもう少し移動の操作位は軽快にしても良かったんではないかと思う。ジャンプまでしろとは言わないが軽い段差位は飛び降りれるとか。同系のゲームとして「Dreamfall Chapters」が出ているがあちらはフリーカメラを採用しているので格段に操作性が良さそうな印象を受けたのに対し、譲れない部分だったのか何故に固定カメラにしたのか良く分からない感じではある。前作の雰囲気を残したかったからだろうか?アイコンで「カメラ」なる物があってクリックした周囲を見渡せるだけの物なのだが、こんな謎アイコン用意する位なら最初からフリーカメラにしろと言いたい。

ただ前作に比べて格段にパズルやトリックが簡単になっており、そこも賛否あれど新規のシステムでのプレイを考慮すれば悪くない判断かと。特にピックアップ画面でのギミック操作はフル3Dが活かされていて、カメラの所で少し触れたがピックアップ画面もその殆どがカメラ操作で周囲を若干見渡せる様になっているので従来の固定プリレンダ画面の様に目の前の画像だけにクリッカブルポイントがある訳ではないのでここは前作と同じ様に考えない方が良い。(Optionで設定していればちゃんとTipが出る)レバーやアイテムによるネジ回しなんかもクリックして終わりではなく自分で動かさなければならないのでこれも注意したい所。この辺は「Fahrenheit: Indigo Prophecy」辺りに似ているといった方が分かり易いかも。これら操作系に起因してパズルそのものにハマると言うより「見落とし」によるハマりが発生するので、簡単だからと横着してると結構ハマってしまうので油断は禁物。

肝心のストーリーだがこれは前作からの直結した続きと言う事で「前作をプレイ済みの人」は問題無く楽しめる。もう完全に続きなので先に書いた様に10年以上間が空いていると今更覚えている人の方が少ないのでは?と危惧してしまう。その為前作をやっていない人には多分ついて行けないストーリーなのでその辺は注意。もしこの3だけプレイしてみようとか考えているのであれば正直お薦めしかねる。まぁ今時はプレイ動画がいくらでも転がっているのでそれで確認すると言うのも有りだが、新規さんでそこまでしてくれる人がいるかどうか…。
今作の流れをザックリ書くとSyberiaの帰り道遭難したKateがSnow Ostriche(「雪ダチョウ」。かつて使役していたマンモスの代わりとなる移動用の動物)の繁殖の為に20年毎に行う大移動中のYoukol達に助けられ、その流れでその旅の手助けをすると言うもの。当然すんなりとは行かせてくれず行く先々で足止めを食う羽目になるのでそれ等を解決し無事目的地まで辿り着くのが目的となる。また今回は追われる立場でもある。(詳細は割愛)
前作からのファンにはお馴染みの展開が待っており勿論声優さんもそのままなのでかなり懐かしみながらプレイ出来た事は請け合いである。特に相方(?)Oscarとの再会と相変わらずの掛け合いや前作に輪をかけて度胸が増し過ぎて弁護士だった事など微塵も感じさせなくなったKateに吹き出すしかなかった。今回の舞台も名前こそ出てこないものの前作以上に完全にロシア(旧ソ連)のそれでありチェルノブ○リで有名なプリ○ャチとかモロ分かり過ぎて(ストーリー込)大丈夫か?とか思ってしまうが、そこはSyberia。バッチリAutomatonを話に絡めてきてこんなところでまでHans無双過ぎだろとか突っ込みたくなる程の天才振りを再度見せ付けられると弥が上にもSyberiaをプレイしている感覚に。

そして問題のエンディング…道中出会いと別れを繰り返しようやく彼の地(Yakhastan)へYoukol達を無事に送り届けたKateは結局追手に捕らわれて連れ戻されてしまうと言う正直「は?」な終わり方で暫く画面を見て呆けてしまった。
個人的にもう続かないだろうと思ってたのでかなり驚いた。クリア実績の文面に「あなたは旅の一片を終えた…だがその先に待ち受けるのは?」とあるのでまさかの続きがある模様。何てこった。…まぁあれで終わりとか流石にKate可哀想過ぎだし続くのであれば良かったのだろうが…とりあえず次回は出すなら出すでスッキリエンディングを迎えて欲しいモンである。Kateが幸せになりますように。(酷い目に遭い続けなので)

OSTは前作から引き続きInon Zur氏が続投しているので安心、安定の出来。前作のメインテーマが非常に印象に残る名曲だったが、今回はYoukol達との放浪の旅と言う事でそのメインテーマが民族音楽風にアレンジされて再度聞けたのは嬉しかった。デラックスバンドル版と別途DLCにて販売しているので気に入れば購入するのも良いかと。

と言う事で前作からのファンにはオススメしたい所。そうでなければ敢えてこの3だけやるのはあまり意味が無いと思うので。それでもプレイすると言うのであれば1、2を通してプレイする事を強く推奨する。(相当長いが)
また前作に比較して難易度は相当下げられてはいるがその分ゲーム全体のボリュームはあるので、価格の面でも良品かと。
Posted May 16, 2017. Last edited June 30, 2017.
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7 people found this review helpful
15.1 hrs on record
※ネタバレ含むので読む方は注意。

全三作の長編ADV。一本のプレイ時間はそれ程長くはないが、パズルがそれなりに難解なので人によって要する時間は大幅に変わるかと。(ミニゲームはギブアップでスルー可能)

とりあえず最後の「Goodbye」まで終えたのでレビューを記述。
ゲーム内容は所謂ポイントクリック式で懐しの「Monkey Island」や「Runaway」シリーズでお馴染みのカートゥーン描写を用いたADV。その為これと言ってプレイ部分に目新しい所は無く、その他インベントリアイテム合成等や会話のシステムも定番の物ばかりなので特にマニュアルを読む必要もなく始められる筈。一部ルールが難解なミニゲームや特殊な操作方が加わる場合はその都度説明が入るのでこれもあまり問題では無く親切な作りだと思う。またQTEの類も無いので時間を気にせずのんびり取り組める…が一箇所ネタかと思わせておいてマジでゲームオーバーになる所があるのでそこだけは選択肢とセーブに注意。

このゲームの魅力はと何かと言えばやはり強烈なユーモア(ブラック多め)満載の漫画的表現に尽きる。絵柄や主人公Rufasのヘタレ自己中っぷりを含めて笑えない人は正直不愉快なだけのゲームで終わる可能性大。一例を挙げると劇中に多く登場する動物達が可愛らしく描かれているのだがそれ等を虐待する様な描写も多く、この辺の表現に眉を顰める人も多い様だ。
舞台背景はディストピアでハードな設定な筈のSFなのだが、それをあまり陰惨に書かずに極力チャラく楽しく書いているのが特徴的で見ていて結構楽しい。そんな感じでの進行なので緊張感と言う物がまるでないのだが、部分的にやはり盛り上げる為の見せ場は用意しておりそれなりに段丘は付けている。ゲーム内にはパズルが多く控えているのでゲームのメインとしてはそちらなのだが、ADVの楽しみとも言える「ストーリーを楽しむ」と言う点でも十分に楽しめた作品。

そして賛否両論のエンディングだが、個人的にはやはり「否」と言わざるを得ない。エンディングその物はお約束のどんでん返し的な終わり方でオチとしては強いがあまりにも救いの無さが残る後味の悪いエンディングではある。結果としてDeponiaは救ったがその後の未来は暗そうと言う感じで終わる。真っ先に「Deus EX:Invisible War」の結末を思い出してしまった程。
またそれまで関わって来た者達の描写が無さ過ぎるのであれで素直に「Deponia救ったRufasかっけー」とはならない人が殆どではないだろうか?このゲームは脇役にも個性的なキャラが多く居たので余計にそう感じてしまう。最後にBarryだけが冗談めいた形でRufasに惜しみない賞賛を送ってくれるがあれが唯一の救いと言えるかもしれない。
プレイヤーの想像にその後を委ねるのも一つの表現ではあるしそれを狙ったのも当然理解出来るが、あれではあまりにも淡白過ぎてADVの結末としてはどうなんだ?と言う気もする。個人的にはやはり大団円で終わって欲しかった事もあり正直さんざやらせておいてコレかよと言う印象。

OSTが付属するパックもあるので最後に音周りの事を書いておくと、このOSTは非常に良い出来。特にタイトルや随所で流れるOrganonのテーマ「Oh, Oh, Organon」は耳から離れなくなる見事な刷り込みテーマ曲。その他のゲーム中BGMもシーンに合わせてキッチリ作られていて非常に好印象。特に「The Floating Blackmarket(Beat Version)」は曲の良さも然る事ながらトリックとしても使っていた(かなりズルい)ので印象的だった。

そんな訳で個人的には気に入った作品ではあるものの、各種表現のクセが強過ぎてADV好きだからと言って万人に勧められる作品とは言い難いがADVとしての完成度は十分満たしていると思う。そこを踏まえた上で敢えてお勧めしたい作品。
Posted January 18, 2015.
Was this review helpful? Yes No Funny Award
6 people found this review helpful
5.8 hrs on record (5.4 hrs at review time)
ようやくこのクラスのリアルタイムグラフィックで遊べるADVが出たかと感じさせる一本。かつて「realMYST」と言うゲームがあったがあれをプレイした時の様な感覚。

内容はADVとしては簡単な部類で、プレイ時間からも想像が付くと思うがかなりボリューム不足。…と言うよりこの山中を実際の縮尺で再現したかのようなロケーションを表現するとこのボリュームも仕方ないかな?と言った印象。それだけこのロケーションの表現はかなり気合が入っていて、正しく「息を呑む」と言う表現が好ましい程に美しい。これは間違いなくこのゲームの売りでありこの広大な「レッドクリークバレー」を散策するだけでもプレイする価値は十分あると言える。
ゲームとして気になった部分を書いていくと、先に書いたこの広大で精細なリアルタイムマップもFPSと違って戦闘も無いADVと言うジャンルにとっては痛し痒しと言った感じではある。基本的に各所に点在する謎解きポイントはそれ程数は多くなく各々結構距離があり、それらは当然「全部自分の足で直に移動しなければならない」ので本来ならMap画面で移動とかで良いだろ、で済むADVとは大分趣が違ってくる。この辺は臨場感を重視した結果のゲームデザインなので、この「移動」に苦痛を感じる人には向かないかもしれない。またインベントリも無いので現在所持してる物や既読のジャーナルを参照すると言ったADV定番のシステムは全て省かれており、尚且つセーブもオートセーブのみなので止め時に困ると言った箇所も。これらの簡素化はこのボリューム故なのかは定かではないが、純粋にADVを楽しみたかったと言う人には若干不満が出る内容かと思われる。

しかしそれらを許せてしまう程に繰り返しになるがこのロケーションの表現はやはり素晴らしく、特に空気感が良く出ていてプレイヤーに山中を孤独に奔走している感覚をこれでもかと言う程に植え付けている。
また一抹の同情と虚しさを残して終わるこのストーリーは個人的にはゲームにしっかりマッチしていると思う。「霊能力探偵ポール・プロスペロの冒険」を是非堪能して頂きたい。
Posted October 10, 2014. Last edited October 10, 2014.
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