The Stanley Parable: Ultra Deluxe

The Stanley Parable: Ultra Deluxe

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新コンテンツ「バケツエンディング」の暫定ネタバレ考察
By kyo5884
やたら強調される謎の存在「バケツ」と、それにまつわる新エンディングについての考察
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概要
やたら強調される謎の存在「バケツ」と、それにまつわる新エンディングについての考察

ネタバレ注意。オリジナル版の主要なエンディングを見て、新コンテンツのプレイ後(少なくともバケツが登場してから)読むことを推奨します。

私のつたない英語力と、セーブデータをリセットしないと見られない台詞もあり、記憶はおぼろげ。公式日本語版も開発中らしいので、どう訳されるかも謎です。これを書いている時点でプレイ時間は12時間程度です。他にも特殊な条件でのエンディングや分岐もあると思います。個人の解釈に過ぎないのですが、それでもよろしい方はどうぞ。

以下、新コンテンツの主要エンディングをだいたい見た(と思う)ので考察した事です。
(Ultra Deluxeで追加されたエンディングは他にも幾つかありますが、バケツに関するものを取り上げています)

「スタンリーは、バケツをしっかりと抱きしめて、ネタバレを読み始めました」
バケツとは何か
突然出てくる謎の「バケツ」。私も最初は意味がわからなかったのですが、「バケツ(bucket)」を「予算(budget)」に読み替えると、ナレーターの物語の全てに筋が通ることに気が付きました。結論から言うと、The Stanley Parable Ultra Deluxeにおける「バケツ」とは「予算」のメタファーだったのです。そして、まさにこの「突然出てきた意味のわからないバケツ」こそが、今作の新コンテンツのストーリーの本質を解き明かす鍵になっています。

以降、必要に応じて「バケツ」を「予算」と書きます。

更に、バケツの登場以降は「予算を持っている状態」と「予算を持っていない状態」で完全にストーリーが分岐します。予算を持った状態でのみ見られるエンディングを、「バケツエンディング」と呼ぶことにします。

また、オリジナル版のトゥルーエンディングとも言える「Real Person Ending」にあたるエンディングで、このギャグの「伝わらなさ」に触れられています。
(オリジナル版と同様に、スタッフロールが流れる唯一のエンディングであるため、私はこれをトゥルーエンディングと考えています)
バケツエンディング一覧
「New New Content」
オリジナル版The Stanley Parableを振り返る内容の「New Content」を見た後に登場する、巨大なネオンサインが目立つ扉。中に入ると、巨大な展示会場で「The Stanley Parable 2」のデモンストレーション展示が行われている
* 展示会場に入って右側のコーナーで、「予算」こと「バケツ」がお披露目される
* ナレーター「ご期待にお応えして、The Stanley Parable 2の新コンテンツには『安心可能予算』を用意しました!」
* 豪華な演出と共に、フックに掛かってぶら下がった「予算」が降りてくる
* 一度「予算」を手にすると手放せない
* 以降、ゲームが全体的にやたら「予算」を強調してくる

「New New Content」後
* タイトル画面が「The Stanley Parable 2」になる
* 「序盤のオフィスでバケツが登場する」「タイトル画面が『2』になる」以外の内容はほぼ同じ
* 恐らく一度「New New Content」を終えると、ゲームを終了して次回の起動時もタイトル画面は「2」で固定(?)バケツも毎回登場するが、New Content自体は見ることができなくなる
* 「予算」を持っている時と「予算」を持っていない時で完全にストーリーが変わるので、エンディングの数もほぼ2倍?(一部例外はあり)

オフィスでバケツを手に入れる
* 「予算を手に入れられて、ラッキーだね」
* 「予算は、スタンリーをより良い男にするためにある」
* 「スタンリーの予算だ。これがあれば、もうスタンリーに必要なものは同僚だけだ」
* 「スタンリーは、予算をしっかりと抱きしめて、左のドアに入りました」

左のドア
掃除用具入れに入ると、ナレーターに「掃除用具入れに『予算』を返しに来たつもり?残念だけど違うんだよね。目立つステッカーを貼ってあげよう、『スタンリーの財産』ってね」と言われ、バケツにステッカーが貼られる

階段を下る
* 「予算」が誰のものなのか考えたスタンリーが狂乱する
* 「予算」を持った女性・マリエラに、「予算」を持っていない男(スタンリー)が歩道で倒れているのを目撃されるエンディング

階段を上る〜上司の部屋〜マインドコントロール施設
* オリジナル版に存在した、施設の柵から飛び降りられるバグに専用の演出がある
* 施設の電源をOFFにしても、予算と一緒では自由(Freedom Ending)には辿り着けず、建物から出られない。永遠に予算と一緒に過ごす羽目になる
* 予算付きであれば施設の電源をONに出来るものの、巨大なスクリーンに映し出された鳥類の映像を嘲笑しながら、ふざけて見るだけ(ゲーム開発会社のCrows Crows Crowsと「予算」を掛けたギャグ?)

Escapeの廊下
人類と「予算」の関わりや歴史についての資料館を見て回るエンディング
* 「25個のバケツ」と書かれた、どう見ても25個以上ある大量のバケツの写真
* (ヴィオニッチ手稿が元ネタと思われる)2つの取っ手が付いたバケツについての資料。「現実世界では存在しないはずのこの設計は、危険かつ無謀な実験と思われる。これを試した者で毎年十数人の死者が出ている」との解説
* 予算が多いほど精神的な負担になり、うまく対処しないと溢れかえる様子を表したと思われる蛇口付きの「ストレスバケツ」の図
* 戦時中でも原型を留めていたバケツの展示
* 最後に、ワイヤーに掛かってぶら下がったバケツ。「これは予算と人間に必要な関係性について表したシンボルです」と解説されている
「スタンリーには死んでもらって、我々の新しい世界を、もっと綺麗な予算で作り直さなければ」といった女性のナレーションを聞きながら、機械に押し潰される

右のドア〜休憩室
* 「スタンリーは、休憩室は『予算』に似合うピッタリの場所だから、見せてあげたいと思いました」
* 「スタンリーは、会議室より休憩室に予算を持ってくるべきだと思いました」
* etc...

休憩室〜廊下を左(メンテナンスエレベーター)
* 「バケツは続編の新コンテンツですが、前作のファンは『予算』なんていう新キャラは求めてないし、『The Stanley Parable Adventure Line™』や『掃除用具入れエンド』みたいなジョークを求めてるはずだよね?そんなファンのために『予算』と共に新しい『ライン™』を作ります!」
* ラインに従って歩いていくと、(恐らく表現規制的な面で)原作から削除されたジョークの数々が披露される
* ラインの終点で、ナレーターが作った新キャラクター「バケツ粉砕装置」が登場する。ナレーターはファンのためにバケツを粉々にするように指示するが、スタンリーはバケツ粉砕装置にバケツを放り込むことはできない。結局、ナレーターの怒りと共に「バケツ粉砕装置」の方が暴走し、壊れ、ナレーターが落胆するエンディング

休憩室〜廊下を直進
「予算」が行動を指示しているかのような設定で、カートゥーンアニメのキャラクターの物真似のような口調でナレーターが語るようになる

貨物リフト
貨物リフトから地面に飛び降りると、スタンリーと「予算」が心中した(?)かのようなエンディング

貨物リフトに一瞬乗って動き始めた後、すぐにリフトから崖に戻る
* 専用の台詞「リフトはもう帰ってこないよ。でも君には『予算』がある。予算にはクッション性に優れた物であることを知ってますか?予算があればどんな高さから飛び降りても平気だよ!やってみなよ」
* リフトが行ってしまった後に飛び降りると、「おっと、私が間違っていたようです」のエンディング(オリジナル版と同じ)

貨物リフトから途中の通路に飛び移る
* 「この先、バケツ持ち込み禁止」と書かれた「予算」の入らない(入れない)扉があり、オリジナル版に存在していた赤と青の扉には行けない
* 「NO BUCKETS PAST THIS POINT」は「ここから先 予算なし」とも訳せる(気がする)
* ナレーターに「スタンリー、もしかして『予算』とは何かを理解していないのでは?」と説教された後、「これは予算か?」の○×クイズをプレイさせられる
* 「これは3Dプリンターで印刷されたバケツなので不正解です」と言われたり、農作業用のトラクターが出てきたりと、内容は滅茶苦茶。しまいには何もないものを見せられ、「どちらも正解です。予算かもしれないし、予算ではないかもしれません」などと言われる
* 最終的に、「この世は何もかもが『予算』と言えるのではないだろうか?では逆にこの世の「予算」ではないものは一体何なのか?」と気になったナレーターが、世界から全ての「予算」を消してしまう
* 「予算」がなくなったゲームは暗転し、ナレーターの台詞とプレイヤーだけが残るエンディング

貨物リフトで反対側に渡った後、電話を取る
* 自我を持ち始めた「予算」の指示に従うことになり、「予算」を持って家と職場を往復する
* 最終的にナレーターの言うことや存在が全て無視され、ゲームが「予算」に乗っ取られてしまうエンディング

電話線を抜く
* ナレーター「『予算』の言うことを無視したのか?まあバケツが喋るわけないから、そりゃ冗談に決まってるよ」
* 「あれ、もしかしてジョークだってことが伝わってなかったのかな……冗談を言う時の間の取り方って難しいよ……」
* ナレーターと一緒に教育ビデオ「コメディなタイミングとは何か?」を見る。冗談を言うタイミングと間の取り方について解説されている
* ナレーターは「もう一度2つのドアに戻って、このストーリーを語り直してみよう」と提案し、戻りながら大声で「私がキングオブコメディだ」などと豪語する
* 指示通りに左のドアを通ると、ナレーターは「なんで右のドアを通らなかったんだ、あのビデオを見ただろう」「スタンリー、お前が全部悪いんだ!」と怒るが、スタンリーにはどうしてもジョークが伝わらないことに気付き、「会う人全員に対して恥をかくかもしれない」と焦り、困惑する
* 一方、右のドアに入るとすぐに電話があり、「もっと前段階があったはずなのに、どうしてこのタイミングで突然電話が出てくるんだ!?」と焦るが、「これは私のせいだ」「ジョークを言うのはやめるよ」と話す
* 両方のドアを通った後、天井裏からスタンリーを眺めながらエンドロール。ナレーターはバケツについて、「君は『予算』を愛しすぎた」「それは甘美な毒だ」「恥の入った桶だ」「金属で出来てるんだよ」などと一生懸命にスタンリーに説明するも伝わらず、「もう私が冗談を言うのは良くない。もっと教育ビデオを作らなきゃ……」と独り言を呟くエンディング

予算と一緒にゲーム外(マップの窓の外)に出る
最初のスタンリーの部屋(427)を出て、左側の窓際のデスクの椅子に向かい、しゃがむボタンを押しながら突っ込む
* ナレーター「『やっとナレーターから逃げ出して、二人きりになったな!』とバケツは言いました」
* 「予算」によってゲームがコントロールされていた真実が語られるが、途中で何者かによって「予算」が残酷に殺されてしまうエンディング
* ナレーター「もう予算なんて放っておいて、私とゲームをやり直そう」
終わりに
「The Stanley Parable (2013)」から「The Beginner's Guide」を経て、「The Stanley Parable Ultra Deluxe」へと昇華した同作者のストーリーテリングの手法や演出の仕掛けには、やはり独特の雰囲気や拘りが感じられます。「The Beginner's Guide」も面白いので、プレイしたことのない方はこの機会に是非。

https://store.steampowered.com/app/303210/The_Beginners_Guide/

以上、一個人の解釈に過ぎないですが、読んでいただきありがとうございます。
また他に何か分かったことがあれば追記するかも