Sprocket

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戦車設計のすすめ
Av Hitozichi
シナリオモードの全数クリアを目的として、このゲームの攻略となる戦車設計の基本思想を書き記します。
WWIシナリオ「No Tank's Land」が一番難しいのではないか、それさえクリアできれば後は消化試合ではないか、という理念に基づき解説しています。

2025年4月20日 V0.1261対応・編集・改稿
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性能決定の順序
Sprocketでは、概ね下記の順番で性能を決定していくことになります。

  1. 主砲の性能
  2. 搭乗員の人数と要求空間
  3. 砲塔の形状・装甲厚
  4. 車体の形状・装甲厚 (1)
  5. エンジン・燃料タンク
  6. トランスミッション
  7. サスペンション (1)
  8. 車体の形状・装甲厚 (2)
  9. 必須部品の設置および装飾
  10. サスペンション (2)
  11. 最終調整
主砲の性能
まず、Gun Mount(砲架)からMantlets(防盾)を仮設置します。
これは主砲の性能を編集するためのものなので、見た目や場所はなんでも構いません。

次に、主砲の性能を決めていきます。

設定項目は以下の5+4(n-1)点です。
Performance(性能)
  • Caliber(主砲口径)
  • Propellant Length(発射火薬の長さ)
  • Counterweight(カウンターウェイト)
  • Recess(収納長)
  • Segments(分割数)
(各セグメント)
  • Length(長さ)
  • Start thickness(始点の厚み)
  • End thickness(終点の厚み)
  • Recoiled(反動)※セグメント2番以降

そして、各設定項目が影響する値が以下の7点あります。
Performance(性能)
  • Muzzle velocity(砲口初速)
  • Penetration(貫通力)
  • Dispersion/1000m(分散率)
  • Bore Length(砲身の全長)
  • Base reload time(基本装填時間)
Elevation(仰角)
  • Time to max rate(最大仰角に到達するまでの時間)
  • Max depression(最大俯角)


初めに、Caliber(主砲口径)を決めましょう。
現実では25, 30, 37, 45, 50, 57, 60, 65, 75, 76, 85, 90, 100, 105, 120, 122, 128, 130, 152, 203などの値がよく使われます。
50~100mm口径が使い勝手がよくおすすめです。

次に、Propellant Length(発射火薬の長さ)を決めましょう。
主砲口径の4倍~5倍が現実的な値です。
現代の120mm戦車砲でも発射火薬の長さは0.57m程度とのことですから、狭い戦車の内部で取り回すには、長くてもその程度が妥当なのでしょう。
(執筆時点のゲームバージョンでは再現できませんが、128mm以上の大口径の戦車砲では、弾頭と発射火薬を別体とすることで、取り回しやすさと性能を両立させることもあるようです)

そして、砲身長(Length)を決めましょう。
主砲口径の30倍~70倍程度の長さが理想でしょう。
貫通力だけでなく、砲口初速と分散率にも注目してください。

Muzzle velocity(砲口初速)が特に重要です。
・偏差射撃の難度が大きくかわること
・弾道に影響するため、距離による仰俯角の修正値がかわること
これら2点がプレイヤーの操作に大きく関与します。

なお、執筆時点のゲームバージョンでは
・Start thickness(始点の厚み)
・End thickness(終点の厚み)
については、重量と外観の設定、
・Recoiled(反動)
については、駐退と複座アニメーションの設定です。
戦闘性能には関与しないようですので、お好みでどうぞ。


最後に、Elevation(仰角)の数値を確認しましょう。
Time to max rate(最大仰角に到達するまでの時間)が1~10秒の範囲にあることを確認します。

180秒やマイナス20秒などの値は、砲の重心が支点から遠すぎて仰角をとれない、または俯角がついてしまうことを示します。

この場合の対処法は下記となります。
・Counterweight(カウンターウェイト)で重心を変更する
・Recess(収納長)で支点を変更する
ただし、カウンターウェイトでは重量において、収納長では室内空間および俯角において、大きな不利が発生するため、おすすめしません。

なお、Max depression(最大俯角)の値については、現段階では決定しません。
※Gun Mount(砲架)の設置時に決定します。
搭乗員の人数と要求空間
搭乗員の人数を決めましょう。

設定項目は以下の1+(2n)点です。
Crew
  • Crew number(搭乗員の人数)
Passenger
  • Space(空間)
  • Role(役割)

Role(役割)には以下の効果があります。
  • Commander(戦車長) 他の搭乗員の能率に影響する。
  • Gunner(砲手) 戦車砲の射撃に必要。主砲の照準と、砲塔の回転速度に影響する。
  • Driver(操縦手) 戦車の走行に必要。能率が高いと変速が早くなる。
  • Loader(装填手) 砲弾の装填時間に影響する。
  • Radioman(通信手) 無線通信に必要。友軍への指示範囲が広がる。能率は影響しない。

まずは、Crew number(搭乗員の人数)を決定します。
4人を搭乗させ、それぞれ戦車長、操縦手、砲手、装填手と独立して割り当てることで戦闘が安定します。
1人に戦車長・砲手・装填手を兼任させるといったことも可能ですが、能率は下がります。
2人の装填手を搭乗させるといったことも可能ですが、装填速度への寄与は検証が必要です。

次に、Space(空間)を決定します。
通信手の能率は戦車の性能に関与しないため、空間は最小としても問題ありません。
車体の形状・装甲厚 (1)
Hull(車体)の形状と装甲厚を決めましょう。

 寸法→形状→装甲厚 の順番で決定していくことになると思います。

さて、戦車は主に船による海運、鉄道・トレーラーによる陸運で輸送されます。
鉄道とトレーラーの荷台に固定できる大きさが戦車の実用上の最大サイズとなります。
固定さえできてしまえば、荷台からはみ出ることは問題ありませんが、道路幅は問題となります。
つまり、戦車の車体寸法は道路規格によって制限を受けているのです。

第一次大戦で初登場した戦車は1.8m、第二次大戦の中戦車では3.0m、戦後の主力戦車では3.5~3.8mです。

幅に制限を設定することで、長さや高さも概ね決まってくるのではないでしょうか。


画面左下で選択するオーバーレイ表示「Armour(装甲厚)」についての説明です。


画面左上「Era(時代)」に登場する敵の火力を想定・準拠し、
画角からの砲弾が、貫通・非貫通可否判定します。

水色で表示される部分は、被弾しても跳弾します。
赤色で表示される部分は、被弾しても非貫通となります。
黄色~黄緑色で表示される部分は、被弾すると貫通し、損害を被ります。


前面や側面がどの角度からも赤色表示となるように装甲厚を設定できるのが理想です。

WWIシナリオ「No Tank's Land」にて塹壕を乗り越えるためには、車体全長6.0~7.0m以上あることが望ましいです。
砲塔の形状と装甲厚
砲塔(Turret)の大きさ、形状、装甲厚を決めましょう。

 幅、高さ→長さ→角度→装甲厚 の順番で決定していくことになると思います。

Firepower(火砲)からGun Mount(砲架)→Mantlets(防盾)、
Crew(搭乗員)からViewports(覘視孔)→Gunner Sight(砲手照準)
およびCommander cupolas(戦車長キューポラ)
上記3点を設置しましょう。

Mantlets(防盾)は、砲塔の下端に設置することでMax depression(最大俯角)を大きくとることができるようになります。
また、砲塔の高さを高くすることでも同様です。
最大俯角は-5°では難あり、-7.5°で実用及第点、-10°以上なら大きなアドバンテージとなるでしょう。

Firepower(火砲)からAmmo Storage(弾薬庫)→Rack(弾薬架)を設置しましょう。
デフォルトではWキーのTranslate(移動)で砲塔内部に移動してください。
デフォルトではQキーのScale(大きさ)の編集で、1つの弾薬架を大きくできます。

Mantlets(防盾)の後方、閉鎖器のありそうな位置に設置すると最も効率的で、再装填の時間が短縮できます。

画面上部・右側のInternal space(内部空間)が砲塔の空間使用率です。
空間使用率の許す限り大きな弾薬架を設置すると良いでしょう。
エンジン・燃料タンク
エンジンスペックと燃料搭載量を決めましょう。

BasicタブのLight, Medium, Heavyの3種類から選べば手軽ですが、Advancedタブで決めていきます。
設定項目は以下の5点です。
Cylinders(気筒)
  • Cylinders(気筒数)
  • Displacement(排気量)
RPM(回転数)
  • Upshift(シフトアップ回転数)
  • Downshift(シフトダウン回転数)
  • Idle(アイドリング回転数)
  • Override Limiter(リミッター回転数の上書き)

まずはCylinders(気筒数)とDisplacement(排気量)を決めます。
気筒数を多くすると馬力が大きくなりますが、エンジン重量と容積が大きくなります。
排気量を大きくするとトルクが大きくなりますが、最高回転数が低くなります。

Midwar~Latewarであればコンパクトなエンジン設計も選択する価値がありますが、WWI~EarlyWar時代では、特にこだわりがなければ気筒数・排気量とも最大のものが最高の選択と言えるでしょう。

例)WWI 一次大戦レギュレーションの場合
エンジン
気筒数
排気量(L)
トルク(Nm)
最高回転数(rpm)
重量(kg)
体積(m^3)
馬力(hp)
2気筒8.0L
2
4.0
370
1000
464.2
0.46
49 @1000rpm
4気筒8.0L
4
2.0
370
1200
553.7
0.55
60 @1200rpm
6気筒6.0L
6
1.33
370
1400
637.8
0.64
68 @1400rpm

例)Latewar 第二次大戦後期レギュレーションの場合
エンジン
気筒数
排気量(L)
トルク(Nm)
最高回転数(rpm)
重量(kg)
体積(m^3)
馬力(hp)
6気筒24.0L
6
4.0
1780
2800
1175.2
1.18
625 @2800rpm
8気筒24.0L
8
3.0
1780
3100
1397.2
1.40
674 @3100rpm
12気筒24.0L
12
2.0
1780
3500
1821.8
1.82
760 @3500rpm


次に、Upshift(シフトアップ回転数)およびDownshift(シフトダウン回転数)を決めます。
シフトアップ回転数はデフォルトである最高回転数-100で不都合がありません。
シフトダウン回転数はシフトアップ回転数の60~70%の値を推奨します。

アイドリング回転数を決めます。
V0.1261では発進時の加速力を決定する項目となっているため、高めのアイドリング回転数を設定すると良いでしょう。
ついでに、燃費にも影響します。


Fuel Tank(燃料タンク)の大きさを決めます。
無変更でよいでしょう。
車体の容積が足りない場合は、数十リットルまで切り詰めても良いでしょう。
トランスミッション
トランスミッションのギヤ比を決めましょう。

エンジンパワーを使い切るのが理想ですから、最終段に最高速が出る値「1.00」を入力します。
WWI時代では、3段変速のトランスミッションが最上等ですから、G3の値が1.00となります。

さて、エンジン設計の段階でシフトダウン回転数をシフトアップ回転数の60~70%に推奨しましたので、ここでは60%の600rpmに設定したものとして進めていきます。

WWI時代の6気筒24リットルエンジンのシフトアップ回転数は1000rpmです。
1速で1000rpmに到達して、変速したとき2速の600rpmより少し高いぐらいの回転数を狙った変速比を設定する必要があります。
2速でも同様に、2速で1000rpmに到達して、変速したとき3速の600rpmより少し高いぐらいの回転数を狙った変速比を設定します。

ここでは650rpmを目標として、650/1000=0.65という変速比にします。
G2×0.65=1.00、G1×0.65=G2という数式ができあがります。
1.00÷0.65=G2、G2÷÷0.65=G1が普通の電卓用の数式です。

G2×0.6=1.00としてしまうと、変速にかかるコンマ数秒の時間で、シフトアップした瞬間にシフトダウン回転数である600rpmを下回り、アホの挙動をとる可能性があります。
サスペンション (1)
サスペンションの設定を決めましょう。
Mobility(機動力)のTracks(無限軌道、足回り)を設定していきます。

足回りは、外観と重量にのみ関与する項目が多いため、重要な部分に焦点をあてて解説します。


Sprocket(起動輪)
  • Diameter(直径)
起動輪はエンジン出力を履帯に伝える部品です。
トランスミッションでもあると言えるでしょう。
これのDiameter(直径)は加速力と最高速度に関係します。
小さいほど加速力がよく最高速が下がり、大きいほど最高速があがり加速力が鈍くなります。

地形との衝突で駆動系が損傷することはありません。


Belt(履帯)
  • Width(幅)
  • Thickness(厚さ)

履帯のThickness(厚さ)は、そのまま装甲厚を意味します。
Spare Tracks(予備の履板)を増加装甲として使う場合に役立つでしょう。
履帯のWidth(幅)は、接地圧を左右します。


Roadwheels(転輪)
  • Diameter(直径)
  • Width(幅)
  • Spacing(間隔)

転輪のDiameter(直径)は、最高速度に関与します。大径ほど高速が出やすいです。
(車軸で発生する転がり抵抗に対して大トルクがかかるためだと思われる)
Width(幅)は装甲厚を意味します。Spare Wheel(予備の転輪)を増加装甲として使う場合に役立つでしょう。
Spacing(間隔)は転輪同士の間隔です。転輪の数を増減させずに接地圧を調整するのに役立ちます。


接地圧について
高い場合
・空転が減り、加速・最高速に優れる
・空転が減り、高速度での旋回時に履帯が外れやすくなる
・地面への攻撃性が高くなり、ぬかるみなどに嵌まりやすくなる
低い場合
・空転が増え、加速・最高速に劣る
・空転が増え、履帯が外れにくい
・地面への攻撃性が低くなり、悪路走破性に優れる

ただしV0.1261では、地形が削れたり、走行によって履帯が外れたりすることはありません。



図:最遠軸距

接地圧は 車重÷2÷最遠軸距÷履帯幅 で求められます。

図の車両では、車重13トン、最遠軸距が4.0m、履帯幅0.3mなので
 13÷2÷4.0÷0.3≒5.416
となります。

経験則ですが、接地圧は5~10(t/m^2)の範囲となるように設定すると良さそうです。


TIPS
  • 段差や起伏の踏破力は、転輪と起動輪・誘導輪の高さの差によって生まれます。
  • 現代の戦車では転輪の数が5~7であることには意味がある気がします。
  • 千鳥足転輪(Interleaved roadwheels)は超壕能力を少し高めます。
車体の形状・装甲厚 (2)
車体の幅や高さを調整しましょう。
・被弾の可能性を減らすため、車体寸法を小さくする。
・内部スペースの確保のため、車体寸法を大きくする。
このステップでは、どちらの可能性もあります。

占有率に10~30%ほど余裕を持たせておけば、時代が変遷してもエンジン換装や装甲厚の変更だけで戦闘できるかもしれません。
必須部品の設置および装飾
必須部品を設置しましょう。
執筆時点のバージョンでは、出撃に必須となるパーツが4+1点、任意のパーツが3点あり、それ以外のパーツはドレスアップとなります。

必須パーツ
  • Commander cupola(戦車長キューポラ)
  • Gunner Sight(砲手用照準)
  • Mantlet(防盾)
  • Driver viewport(操縦手用覘視孔)
  • Antenna(アンテナ)※通信手を搭乗させている場合のみ

必須パーツのうち戦車長キューポラ、砲手用照準、防盾については砲塔設計の段階で設置していると思います。
操縦手用の覘視孔とアンテナを設置しましょう。

任意パーツ
  • Exhausts(排気管)、Vents(吸気口)
  • External fuel(外部燃料タンク)
  • Fuel Port(給油口)

TIPS
  • キューポラ、覘視孔、給油口、排気管、吸気口は設置箇所の周囲にやられ判定が発生するようです
  • 排気管、給気口はそれぞれの中心にエンジンのやられ判定が移動するようです
  • 砲手用照準は一部の防盾の裏側に埋め込んで隠すことができます
  • キューポラ、照準などのパーツにはやられ判定がありません 弱点にはなりません
  • 外部燃料タンクは被弾すると爆発します
サスペンション (2)
サスペンションの最終設定です。
Mobility(機動力)のTracks(無限軌道、足回り)を設定していきます。

Config(コンフィグ)において、Suspension(懸架装置)の重要項目Torsion bar(トーションバー)を設定します。

入力できる数値は2箇所です。
Torsion bar(トーションバー)
  • Length(長さ)
  • Diameter(直径)

トーションバーの長さと直径を変更するとTorque(トルク)が変わります。
このトルクとはトーションバーのバネ力と言い換えることができます。

Specific Weight(比重量)はバネ上重量を、転輪の取付軸の数で割ったもの、とほぼ同義です。

トルクの設定値ですが、下記の通りとなります。

比重量より著しく大きいトルクでは、段差の衝撃を吸収できず些細な路面の凹凸の影響を受け、まっすぐ走れなくなるなど、走行性能が低下します。

比重量の1/3より小さいトルクでは、トーションバーのバネ力が自重に負けてサスペンションが底突きしてしまうため論外です。
比重量の1/2トルクでは、底突き寸前まで沈み込みます。
比重量の1/1トルクでは、柔らかめのしなやかな足回りとなります。

しかし、塹壕を乗り越えるとき、左右の最前と最後の転輪のみが接地し、中間の転輪が浮いた状態になるかもしれません。
転輪の数が片側6輪だと仮定した場合、本来中間の4つの転輪にかかる重量が最前と最後にかかることになります。重心が前後50:50だとしても、本来の3倍の荷重がかかるため、底突きしてしまう可能性が高いです。

よって、比重量の1.5~2倍程度のトルクが理想だと言えるでしょう。
最終調整
主砲を発射してみましょう。
反動による揺れの収まりが悪ければ懸架装置のダンパーの値を増やしてみましょう。

前進してみましょう。
加速力が悪い場合、変速機のギヤ比の数値を高めるだけでなく、履帯幅を狭めてみるなどの方法もあります。

戦闘してみましょう。
AIが敵・味方とも優秀なため、ガンガン命中弾を撃ちます。
AIは砲塔を狙います。
砲塔・車体とも側面は特に弱点となりやすいため、可能な限り低く短いものが使いやすいでしょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
きっと貴方も第一次大戦シナリオ「No Tank's Land」をクリアできることでしょう。

皆の武運を祈ります。
1 kommentarer
柳雨風Hyacie喵~ 28. mars 2022 kl. 23.12 
詳しいですね。助かります。