"趙雲と周倉の記憶：
大志を抱けど、拠って立つ国を得ず。
されど、彼の人は得難きをすでに備える。
才煌めく将星を惹きつけてやまぬ、
大いなる仁徳を——
「劉備殿に惹かれた者同土、
これからよろしく頼む、周倉」
「いや、俺は劉備殿に惹かれたっつーか、
親分に惚れたわけで……」
「しかし、かの赤兎馬に劣らぬ駿足とは、
にわかには信じがたい話だな」
「どうだろうか。一つ、私と駆け比べを
してみないか?」
「……こいつ、人の話聞かね一のな……
「とはいえ、俺の足を疑われるのは
我慢がならねえ」
「いいぜ、受けて立つ！」
「ああ、いざ！」
「って、ちょっと待て！」
「お前さん、なんで槍を 」
「戦場と同じ装いのほうが
速く走れるからだが？」
「ああ、やべ わぞわしてきた！」
「む？もう駆けだすとは卑怯な」
「待て！」
「うおおおおおー！やめてくれー！」
猛然と駆けだす二つの人影は、
瞬く間に点となる。
期せずして、大徳の道は切り開かれた。

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