Cities: Skylines

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初心者ガイド【1】資金カンスト絶対防ぐマンの暗躍 編
By Nekko
プレイヤーの都市の現在の余剰資金と、税収と公共サービスの収支全般についてお話しします。
少し長くなりますが、都市の問題点を見つける上で初心者が最初に知っておくべき基礎知識と考えられるため、ガイドに持ってきました。
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はじめに(このガイドの概要)
まず、都市の余剰資金を増やすことをプレイ目標にしないほうが良いこと(①)、また、税収と公共サービスの収支のプラス額を増やすことをプレイ目標にしないほうが良いこと(②)を最初にお伝えします。
背景
公式に説明されておらず、またWikiのビギナー向けガイドにも明確に掲載されていない事柄なのですが(2021年2月時点で確認)、これまでのプレイによる検証やコミュニティ内の投稿記事(による現象発生の報告)などから導き出した蓋然性の高い情報をもとに、①・②の助言を行うことになります。

特に初心者はこれら(①・②)を目標の一つに入れる可能性があるため、それは避けることを強く推奨します。
都市の税収は誰が決めるか
Cities Skylinesの都市の税収(住宅地区、商業地区、産業地区からの課税収入)と公共サービス(支出)の収支のプラス幅は、ゲーム本体によって強いコントロールがされています。シミュレーションゲームゆえに行われる各種パラメータの計算とは別に、初心者と想定されるプレイヤーの都市を破綻させないための非常に強力な制御がかかっているという意味です。

一体どういう事でしょうか?

ゲームの設計をシンプルに考えた場合、プレイヤーがゲームプレイにあまり慣れていない頃は都市の収支のプラス幅が小さく、場合によってはマイナスになってしまうこともあり、やがてその都市は財政破綻に追い込まれます。
プレイヤーがゲームの仕様などを把握して上達すると都市計画の効率化が進み、都市の収支のプラス幅は大きくなり収支的には余裕となるため、次第にそうした部分に注意を向けなくなります。これは本当にシンプルな設計です。

Cities Skylinesの設計は、そこに強力な補正が加わります。その補正の存在は、公式にはプレイヤーに非公開となっています。一部のプレイヤーが経験則などをもとに「おそらくこうではないかと」推測する情報となっています。

コミュニティに投稿された有志の情報や、私の試した結果から「おそらくこうだろう」と考えられるシナリオを説明します。私はゲームの仕様書を持っていないので本当のところは分かりませんが、そうではなかった場合に説明がつかない現象が発生するということは申し上げておきます。
補正の正体
補正の内容は、都市の余剰資金が少ない場合は税収が増加し、都市の余剰資金が多くなると税収が減少するというものです。

余剰資金が多くなれば多くなるほど税収は大きく減少するように補正が掛かるため、余剰資金が非常に多い場合は収支がマイナスに転じることも珍しくありません。ただし、マイナスに転じたとしても、余剰資金が大きく減少すると再びプラスの補正がかかるようになりますので、放置しても都市の財政破綻には至りません。

この仕組みにより、プレイヤーの都市の財政破綻が強い仕組みで防がれています。補正の程度、具体的な数式などの全容は明らかになっていませんが、コミュニティ内の投稿記事の体験談などからは、税収に2倍以上の差が付く変化もあるようです。
(2021年2月27日 本体パッチ 1.13.1-f1 にて再現することを確認)
何が都市に起きるか
都市の余剰資金が非常に多い状態、特に税収が非常に多い状態を維持することはゲーム本体の補正によってブロックされることを意味します。

ですので、それを目標に据えてしまうと、その目標達成はより困難なものとなり、通常は失敗します。

このガイドの最初に書いたように、都市の余剰資金を増やすことをプレイ目標にしないほうが良いこと(①)、また、税収と公共サービスの収支のプラス額を増やすことをプレイ目標にしないほうが良いこと(②)を、まず初心者に最初に知ってもらう必要があると考えています。この仕組みの存在を知らないままプレイしたとき、初心者が困惑することは明らかです。
銀行残高による税収補正(参考値)
銀行残高が0のときの税収を100%としたときの、税収の目安を次に示します。ゲーム内の実測値をもとに推定しています。

銀行残高
税収
0
100%
1,000,000
96%
2,000,000
91%
3,000,000
86%
4,000,000
82%
5,000,000
78%
6,000,000
72%
10,000,000
63%
20,000,000
47%
30,000,000
35%
40,000,000
30%
50,000,000
25%

表の読み方
都市の銀行残高が 1,000,000 のときは、本来得られる税収の約96%を実際には得られるという意味です。約4%の減少です。この減少分は画面に表示されず、通知もされません。気付きにくいです。
都市の銀行残高が 20,000,000 になると、47%、本来の額の半分未満に減らされてしまいます。
都市の銀行残高が 50,000,000 になると、25%、本来の額の1/4になってしまいました。

なお、税収の変化はとてもゆっくりと進行します。
何が狙いだったのか
都市の余剰資金のカンストを防ぐことと、プレイヤーの都市の破綻を(ゲームの難易度を変えて)可能な限り防ぐのが狙いではないかと推定されています。

(「カンスト」 = ゲーム用語。日本国内プレイヤー限定の和製英語のようなもの。増やしすぎて、ゲームデザイン上の取り扱える数値の上限に達してしまい、それ以上数字が増えなくなること)

しかし、残念ながらそこにシミュレーションゲームの醍醐味の「シミュレーション」はありません。プレイヤー本人の視点では、ゲーム内のプレイヤー都市の粉飾決算みたいなものですから、これを面白いと思うプレイヤーは少ないでしょう。

「あなた(プレイヤー)は初心者かもしれないので、都市の資金がマイナスにならないように最初は手加減しておきますね。でも、都市の資金が増えてきたら勝手に少しずつ難しくしていきますね。それでも資金が増えたらもっと税収減らしますね。資金カンストなんて絶対させませんよ」と、Cities Skylines のデザイン担当は言っているようなもんです。

実プレイにおいてはDLC追加要素などによる税収以外の収入もあるため、仮に税収がゼロになったとしても資金カンストを完全に防ぐことはできませんが、カンストを遠ざけることはできています。この仕組みは不具合などではなく、明確な意図を持ってゲーム本体に組み込まれていると考えるのが自然に思います。
問題点
問題は、DLC追加要素などによる税収以外の収入があるということです。これは、ゲーム内の時間経過により、(都市が補正によりカバーしきれないほどの大きな収支の問題を抱えていない限り)都市の余剰資金は増え続けてしまうことを意味します。

仮に税収と支出のバランスが拮抗していて余裕がなくても、長い時間プレイを続けることで都市の余剰資金が増えてしまった時にも補正がかかるため、その理由で税収が減少傾向になり、初心者が「人口が増えて雇用も問題がないのに税収が減っていくのは、都市に何かマズいことが起きているのではないか」と推察してしまうことです。

実際は何も起きていなくて単にゲーム本体に隠された「資金カンスト絶対防ぐマン」による強力な補正によって税収が減らされているだけなのですが、その事実は公式には隠されているので、初心者は原因を特定出来ません。

初心者が困ってしまい理由を知りたくてコミュニティに投稿しても、おそらく熟練プレイヤーが多いであろうコミュニティからの反応は「デスウェーブでも来たんやろ(原因を探す気はない)」、あるいは「都市で何か問題が起きたんだろう(それが何かまでは知らん)」となるため、初心者の疑問は解決されません。

幸運な初心者は、「資金カンスト絶対防ぐマン」の存在を看破した熟練プレイヤーによってそれとなく「都市の資金が増えるとそういうことも起きるよ」と伝えられますが、長文は書きたくないので簡単な説明で済ませたとしたら、正確にその意味が伝わっているでしょうか。

このガイドはそうした初心者をガイドする目的がありますので、ここまでの長文により徹底的に説明しました。
まとめ
  • Cities Skylines は、都市の余剰資金を基準として、プレイの途中に難易度が自動的に変化します。その変化の度合いはプレイヤーに通知されません。
  • 都市の余剰資金が非常に多い状態、かつ収支の大幅な黒字を同時に維持することは困難です。
  • 都市の余剰資金が非常に多いと、都市のシミュレートと関係なく、隠された補正処理により税収は減少します。余剰資金が多ければ多いほど、減少の度合いは強まります。収支はマイナスになってしまうかもしれませんが、それは都市の問題ではない可能性があります。
  • Campus、IndustriesなどのDLC追加要素による都市の収入は、この補正の影響を受けません。
対策の例

画像の訂正:画像には「補正はかかりません」と記載されていますが、誤りです。補正は常にかかっています。
初心者プレイヤーの感想
「資金カンスト絶対防ぐマン」の存在は公式に説明されていないので、その存在は私達プレイヤーの視点では推測に過ぎません。

しかし、もし仮に「資金カンスト絶対防ぐマン」が存在しなかったとしたら、通常起こり得ないようなシミュレーションの不具合が複数のプレイヤー環境で発生していることになります。

初心者救済のための仕組みのはずが、その存在が公表されていないが為に逆に初心者を混乱させ、Cities Skylinesの理解をより難しくしているのは本当に皮肉です。

プレイに慣れてくると、補正によって税収が減らされると都市の問題によって減っているのか補正によって減っているのか見分けが付かず、経済の収入と支出の画面が信用出来なくなってしまうので、都市の余剰資金をいかにして増やさないかという対策まで必要になってきます。

具体的には、住宅地区、商業地区、産業地区の税率を下げていきます。序盤は税率を4%前後まで減らすことで、収入と支出の差を0に近づけて余剰資金が増えていかないように調整することを目指します。

最終的にはCampusによる収入が非常に多くなるため税率は1%にしてもいいくらいで、さらにIndustriesがクッソ強力で税率1%でも全体の収支がプラスになってしまい都市の余剰資金が増えすぎて結局補正がかかってしまうので、そうなると都市の資金をわざと無駄遣いするしか手法がありません。

支出を増やすため雑に無駄な公共施設を作りまくってもいいんですが、精密なプレイをするプレイヤーなのであんまり雑に置きたくないんですよね。
個人的な体験談
そしてこれは最近気付いたことなのですが、私、真の初心者の頃に作った都市の、道路維持費が増えすぎて収支がマイナスになり破綻しかけて都市を放棄したことがあったんですよ。

しかし、今になって思うとあれは本当は破綻でも何でもなくて、「資金カンスト絶対防ぐマン」による補正がかかっていたというだけでした。

よく都市を観察してみると、道路維持費の多さが理由で都市経済が破綻なんて、序盤に道路を無茶苦茶引きまくらない限りまず起こらないんです。
大幅な黒字と余剰資金を放置した結果、猛烈な補正がかかり収支がマイナスに転じたというだけでした。

このような決定的な勘違いが初心者の身に起きるので、補正によりどのくらい税収を下げているか(または、上げているか)は、都市経済の収入と支出の画面に表示すべきだと思うんですよね。

なぜ、補正は隠されているのでしょうか?

デザイン担当は何してくれたんだと思いますが、こういうデザインが優れていると本気で思っている人も結構いるし、プレイヤーの一定の支持層もあるので(このような仕組みは)無くならないんですよね。ですので無くせとは言いません。でも補正の数値は表示してほしいとネッコは思うのです。
余談(別のゲームと比較)
ちなみに面白いことにSimCity(2013)はこの手の補正が無いんですよ。
なのでSimCityでは都市が拡大したのに税収が減ってしまうような混乱は起きない代わりに、変な作りをした初心者の都市の破綻も普通にあります。SimCity(2013)の都市の余剰資金が増えていくことへの対策は、上限を通常のプレイでは到達しないくらいに滅茶苦茶引き上げることです。それでも一応カンストは可能なのでカンスト狙い(資金ランキング上位狙い)をやっている人もいましたが、長時間の放置が必要でした。

SimCity(2013)はとにかくシム一人一人に正確無比なシミュレーションをしようとして、シムの制御に負荷が掛かりすぎてマップを広くできなかった設計上の欠陥を抱えてしまったので、Cities Skylinesはその逆張りで正確なシミュレーションを完全に捨てて演出と見栄え重視に振り切った感はあります。余剰資金の額による税収の補正なんて思いついたことをそのまま組み込んでしまったのかもしれません。
(「シム」 = シティーズの「市民」のこと。SimCityではシムと呼ばれる。)

Civ6とStellarisには同様の補正はありません。Civ6は対戦なのでまあ流石に補正かけたらまずいタイトルですが、Stellarisはエネルギー通貨を真面目にシミュレートしていますね。その代わりStellarisのエネルギー通貨はカンストが早いけどね。難易度はゲーム開始時の設定で弄ってくれ(ゲームの途中に難易度は変えない)というスタンスだと思います。Cities Skylinesはゲーム途中に難易度を黙って変えてくるので(その仕組みも未公表)、それは初心者を混乱させます。私はStellarisのデザインの方が好きだけどなぁ。

何だかなぁ、って感じだよね。


- おわり -
更新履歴
2021年2月27日
  • 初版

2021年7月12日
  • 「銀行残高による税収補正(参考値)」を追加
NOTE
ネッコの初心者ガイドは、日本語版Wiki(「Cities:Skylines攻略情報wiki」)の初心者ガイドに
投稿するかどうか迷った結果、確かな情報源がない等の理由から
投稿を見送った内容を主に扱います。
初心者の方は、「Cities:Skylines攻略情報wiki」の初心者ガイドも併せてお読みください。

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NOTE
※本稿(このガイド)は、一人のプレイヤーが主観でゲームの感想を記した内容です。
※本稿の内容の正確性、最新性、完全性などについて、いかなる保証もされません。
※本稿に記載されているゲームタイトルなどの固有名詞は、各社の商標あるいは登録商標です。
※固有名詞の記載は、ゲームの感想文を正確に伝える目的において
 必要と考えられる範囲で明記したものに過ぎず、特定の製品を推奨する意図はなく、
 比較レビューを行う意図も含まれていません。
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初版公開日:2021年2月28日
最終更新日:2021年7月12日
Cities Skylines 対応バージョン:1.13.1-f1
3 Comments
aketagawa2000-t21 Jun 8, 2024 @ 1:28am 
初めて知りました
たしかにある程度発展すると赤字になりますが単にそれは高齢化しただけだと思っていました
cieciecie3 Apr 12, 2023 @ 2:13pm 
人口が増えるほど、黒字を維持するために公共サービスを削らなければならないと思っていたので、自由な街づくりができずにいました。お金が増えたら収入にマイナス補正が掛かると知って納得しました。ありがとうございます。
Peach Jul 2, 2022 @ 12:59pm 
大変ありがたい内容でした。
新たな視点で街づくりを再開したいとやる気が出てきました。
それにしても、文章がとても読みやすいですね。
尊敬します。