Pax Nova

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Pax Nova 各勢力テキスト日本語訳
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最初に参照可能な部分の訳のみに留まり、ゲーム内容やネタバレには踏み込んでいません。
   
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プロローグ
人類は、環境汚染と戦争を通して失敗を繰り返してきた。

一世紀もの間続いた政治的緊張と数多くの武力紛争を経て、地球はもはや居住不能の星となりかけていた。そこへ、ある深宇宙からの通信が、死に瀕したこの星を去り、一からやり直すチャンスを示唆する。Eos銀河への移住。それは『新たなる平和〈Pax Nova〉』の時代の幕開けを示していた。

しかし、それで人類は救われるのか。
はじめに
やや意訳が多めになっていますが、事実関係は重視しているつもりです。固有名詞に関しては読みがある程度は明らかなもの、歴史等から取られたとおぼしきものは積極的にカタカナ化してあります。誤訳や、もっとよい訳などのご指摘があれば、よろしくお願いします。

2019/10/06:表現と文の繋がりを全体的に整理。
勢力設定 - 人類
地球共和国(The Terran Republic)
地球共和国は、かつて西欧文明として知られていた諸国の集合体です。数え切れないほどの戦争と絶え間ない社会不安が巨大な亀裂を生み、この集合体は危うく完全分解に至るところでした。あたかも棺に打ち付ける最後の釘の一本のような、ゆるやかな地球の終焉と共に。
在りし日の残照に過ぎないとはいえ、地球共和国は消滅せず、未だ存在感を保っています。カリスマあるウィン宰相に率いられ、今、再出発のチャンスと希望ある未来が拓かれています。

テンプル教団(The Templar Order)
『大航海』より遡ること一世紀前、テンプル教団は審問官マルソーにより設立されました。彼らはThe Riftの敬虔なる信奉者で、世俗的な支配体制に断固として抗っています。またその主張によれば、地球衰退の原因は信仰の欠如であり、正しく導かれなかった統治者やその国民たちに責任があります。長い年月をかけ教団は力を増し、現在は極めて献身的な信徒による強大な軍が審問官ヴェイヨンニ世により指揮され、無謀にもThe Riftの意思に背かんとする者すべてと戦う構えです。
大航海(The Grand Voyage)は地球の過去のそれではなく、本編の背景となった銀河移住計画のことでしょう。

結社『第三の眼』(The Third Eye Society)
18世紀、ある秘密結社が宗教界および国家権力の専横への対抗を掲げ設立されました。これはそこから派生した組織です。しかし地球が何世紀もかけ衰退していくにつれ、徐々に『第三の眼』は欺瞞や狡知、謀略を駆使するようになり、自らが国家権力を裏から掌握することを目的としはじめました。
派生元とされる結社は暈してありますが、イルミナティのことと思われます。本来のイルミナティがフィクションにおける悪役「イルミナティ」に変質していく、というifかもしれません。

アシャンティ連邦(The Ashanti Union)
古代のアシャンティ王国の灰から蘇り、女王ナオビによって率いられたこの連邦国家は、ほぼ全土を覆い尽くしたアフリカの砂漠化を辛うじて切り抜け、さらに繁栄を誇るまでになりました。
何世紀にもわたる世界的危機と緊張のなか、アフリカ近隣諸国の生き残った部分はアシャンティの旗のもと集い、豊かな天然資源に基づく非常に堅固な経済を築き上げました。それは閉鎖的ではあるが、極めてユートピア的な社会を形成しています。

蓮の僧伽(The Lotus Brotherhood)
もとはチベット高原のある寺院で、たった数名の僧から『蓮の僧伽』は端を発しました。それは指数関数的に成長し、やがて固有の法律と政治組織を持つ本格的な準国家となりました。孤立主義的な特質、神秘的な慣習、祖先信仰で知られたこの僧伽は、その指導者Rinzai Son-Wiの意思と教えを体現しているとされています。
準国家:proto-stateとは国家として完全に制度化される前段階の集団を示しますが、広く使われる一意的な訳語は無いようです。Rinzaiは臨済から来ていると思われるものの、意訳も困難なため原文通りに。

東方抵抗運動(The Eastern Resistance)
はじめのうち東方抵抗運動は単なる無法者の集団であり、「東欧および南コーカサス地方独立のための解放戦線」という大義はただの口実でした。しかし地球共和国が崩壊してゆくにつれ、次々と行政区が共和国から離脱、抵抗運動に参加するようになり、数十年かけこの勢力は拡大を続けたのです。マルカリアン司令による指導のもと、ここ十年でそれは頂点に達しています。

ラーの王朝(The Ra Dynasty)
『ラーの王朝』の起源は遠く古代エジプトにまで遡りますが、何十年と続くエジプト周辺地域の混迷期において、新たに蘇りました。ラムセス六世の直系の子孫で、当時最高の科学者の一員でもあったラムセス七世は努力の末に軍を組織、巨大な支持者集団を得ることに成功しました。
十年の戦争ののち彼は祖先の古代帝国にならい祖国エジプトから遥かシリアにまで広がる領土を制圧、技術官僚国家を建立すると、自らファラオの位に就いたのです。

勢力設定 - コルヴィス
Corvusとはカラス、もしくはからす座のことなので、『からす座の民』といった意味合いかもしれません。

時の教団(The Aion Cult)
『時の教団』は深い信仰と博愛精神を併せ持つ、からす座デルタ星第四惑星の神権制準国家で、その母星を離脱した最初の集団ともなりました。彼らは非常に閉鎖的な性向にあり、また可能ならいかなる時でも対立を避けようとします。しかしコルヴィス勢力最後の砦の一角として、必要なら極めて優秀な戦士にもなり得ます。

双日の王朝(The Dynasty of Suns)
からす座デルタ星第四惑星の歴史ある著名な勢力の一つであり、何世紀もの間その母星において指導的立場にあったことは確実です。とはいえ現在の王朝は、かつての姿の残照でしかありません。さらに若きドゥシ王は民の夢と希望を双肩に担うべき立場にありながら、気まぐれかつ直情的で、最古老達の懸念の元となっています。
王はしかし、最古老達が間違っていたことを証明し、王朝のあるべき姿を取り戻すことを固く決意していました。Eosへの旅出は、その目標への第一歩です。
双日:原文ではsunsなので太陽と訳すとやや説明不足気味に。からす座デルタは二重連星だからですね。

コイ・ヴェ企業連合(The Koy-Ve Syndicate)
コイ・ヴェ企業連合はからす座デルタ星第四惑星の大半の企業を傘下に収めており、私設民間軍事会社すら保有していました。
しかし惑星の急速な衰退により収益と労働力が大きく損なわれはじめると、その残資産の大半はEos銀河へと移住するための「方舟」に投資する他なくなりました。とはいえこのような経緯があったとしても、最高経営責任者ヴォシ氏は、彼がかつて経済帝国を築き上げた際の冷徹な行動力と無慈悲さを、いまだ変わらず持ち続けています。

インバック共同体(The Inbac Collective)
インバック集合体はもともと、からす座デルタ第四惑星の不毛地帯に住むことを余儀なくされた社会不適応者や盗賊を寄せ集めた流浪集団として生まれました。しかし何世紀ものあいだ研鑽された生存術を備えたこの集団は、惑星が年々荒廃していくのに反比例し発展していったのです。
レゾン族長は奇病(幼少期の彼の視力も奪った原因にもなっています)に苦しむ身でありながら、集合体を新たな高みへと導きました。その盲目と脆弱な肉体を補って余りあるカリスマ性、そしていかに打開不可能のような状況でも失われない明晰な思考力を備えているためです。
勢力設定 - ドロスク
アービン帝国(The Arbin Domain)
ドロス星第二惑星は千年の間アービンの血族によって争いもなく統治され続けてきましたが、C'Vothuaが彼の妹、女帝C'Thoaへの叛逆を決意したことにより転機を迎えました。彼が率いた叛乱はほぼ一世紀にわたる凄惨な内戦と化し、危うく惑星全域を焦土と化すところでした。
とはいえ結局のところ女帝C'Thoaを帝位から追い落とす試みは失敗し、彼女は勢力を損なわれたアービン帝国の統治者であり続けています。人臣は彼女を半神と見なし、彼女を恐れぬものはほとんど存在しません。
domainは領土を示す単語で帝国という意味は(おそらく)含んでいませんが、文脈上帝国として扱われているようなので、この訳語を使わせてもらいました。

アーノン王国(The Kingdom of Alnon)
当時皇子だったC'Vothuaが妹である女帝C'Thoaへの叛逆を決意した結果、興されたのがアーノン王国です。当初の目的はアービン帝国の簒奪でしたが、内戦をおよそ一世紀続けることとなり、結果的にアーノン王国の設立という形に落ち着いたのです。
C'Vothuaは芸術に対する情熱で有名ですが、同時に極めて穏やかな、しかし抜け目のない人物であることでも知られています。彼はアービン帝国によるドロス第二惑星の絶対支配を辛うじて打ち破り、大いなる指導者としての地位を世襲ではなく自ら確立することができました。そのためには莫大な犠牲が払われましたが。

ヒュロッキン連邦政府(Hyrokkin Federation)
『ヒュロッキン』とは元々、アービン帝国における奴隷および剣闘士の共同体として名を知られていました。ドロス第二惑星の内戦が勃発すると彼らはなんとか脱獄に成功し、やがて現在ヒュロッキン連邦政府として知られるようになるまでになったのです。
長〈おさ〉エミックは、かつてアービン帝国の闘技界で何世紀も王者の座にありました。彼によって建設されたこの国は、その母星を蝕んだあらゆる惨状を教訓とし、ふたたび奴隷化されることが決してないように成長を続けています。
ヒュロッキン(Hyrokkin)は土星の衛星もしくは北欧神話から取られている名称だと思うので、それに準じた発音で表記しました。

ムーヒ産業(The Muuhi industries)
ムーヒ産業はかつてアービン帝国の経済と発展の原動力でした。しかしドロス第二惑星における内戦でどちらの勝利もあり得ることが明確になると、彼らは両陣営から距離を置きはじめます。ムーヒ産業が他勢力との経済活動に着手したことが契機となり、アービン帝国から送り込まれた工作員の爆破で、この巨大企業の経営最高責任者ドラクタ氏が殺害されたかのように思われました。しかし結局、ドラクタ氏は彼が所有する施設によって肉体の大半を再構築され、数年後には完全に復活することになったのです。
ところが彼は実際には蘇生などしておらず、ムーヒ産業は一人のクローンによって経営されているとのまことしやかな噂も絶えません。どちらにせよ明らかなことは、彼らが決して侮ることなどできない勢力であるということです。
その他
The Rift
たびたび伝説上で言及される、Eos銀河を支配し、「時間」そのものと同じだけ存在を続けているとすら言われる起源不明の神秘的実体があります。それが何なのか、どこから来たのかは謎です。我々にとって唯一確かなことは、『The Rift〈亀裂〉』として知られる現象がその実体と何らかの関連性があり、存在を証明するものとして幾度も用いられてきたということだけです。