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Posted: Jan 13, 2014 @ 1:26am
Updated: Jan 13, 2014 @ 1:28am

"Anodyne"とは、鎮痛剤という意味。

クリアは5時間程度。
16bit時代のアクションゲームを想起させる作り。世界観はある人物の無意識下ということもあって、おどろおどろしい雰囲気を漂わせていいる。
SFC時代の"ゼルダの伝説"よろしく、ジャンプと攻撃のみのアクションで、様々な仕掛けの施されたダンジョンをクリアしていく。
一定のタイミングで火を噴き出す床、ポールの周りをぐるぐる回る火の玉、乗ったら一定の方向に動く床、時間制限で落ちる床等々、ダンジョンごとに独特の対応を要求されるのでプレイヤーを飽きさせない工夫が施してある。

……しかしながら、フィールド及びダンジョンのマップがなんとも見にくい。
同じ大きさの部屋が碁盤の目のように隣接している構成になっているので、小マップではなく都度全体マップを開く必要があり、それによって自分が全体のどの位置いるかを把握する事が必須事項となる。
加えて問題はもう一つあって、部屋が隣接しているからといって、そこを通り抜けられるというのは全く別問題であるということだ。
未探索の部屋が隣だと思ったら、反対側からぐるりと外周を回らされたなんてことがあったりするので、プレイ時には注意が必要だ。
とはいえ、一度目的を果たしたギミックを何度も繰り返させないようにマップをショートカットさせる配慮が見られるのと、いつでも自由にダンジョンの出口に戻れる機能は非常に助かった。
もしかしたら、製作者もマップの複雑性を感じていて、その救済策として用意しているのかもしれない。

また、本作にはカードという収集要素も有り、カードの集めた数によって開放される扉があったり、後々物語に関わる大変重要な要素となっている。マップやダンジョンのあちこちに宝箱という形で落ちているので、マップやダンジョンの隅々まで、くまなく探しておくことを強いられる。これが結構煩わしく、過去にクリアしたダンジョンで取りこぼしてしまうと、カードの枚数を数えながら、あちこちを東奔西走する羽目になる。
余談だが、間抜けな筆者はその取りこぼしで面倒な思いをした。

その様子はまるで宮沢賢治著"雨ニモマケズ"の如くで、

"東の森にカードの取りこぼしあれば、行って茨に体を裂かれ"
"西の浜辺にカードの取りこぼしあれば、行って砂に足を取られ"
"南の池にカードの取りこぼしあれば、行って泥にまみれ"
"北の高山にカードの取りこぼしあれば、行ってはしごを登り"
"取得済みだった時は、ここでもないと涙を流し"

そんな感じでsteamフォーラムガイドには何度も世話になった。

本作は敵のバリエーションも豊富である。
出会った当初は苦戦もするだろうが、動きにパターンがあるのでそれさえ見きってしまえばどうとでもなる。通常の敵はマップを移動するごとに復活するので、雑魚敵を倒し続けることで落とすライフを取得し続ければ、常に体力満タンの状態を維持することも可能。
敵も自分も攻撃を受けた直後は無敵時間が存在するので、ヒットアンドアウェイ先方が基本戦法となる。
そして、マップの終わりには個性的なボスも存在する。初見では厳しいこともあるが、体力次第ではごり押しでどうにかなってしまうこともあるので、積極的に攻めてみるのもいいだろう。

操作キーはデフォルトでは微妙なところに配置されているので、ゲーム開始直後に以下を例とした割り振りをした方がやりやすい。
もちろん、プレイされる方のお好みで設定してしまって全くかまわない。
(ちなみに筆者はFPS操作に慣れ親しんでいるので、すべて左手でプレイできるようにキーバインドした)

* Up = W
* Down = S
* Left = A
* Right = D
* Jump = Space
* Attack Command = Enter
* Menu = Tab

セーブポイントはマップのそこかしこに点在しており、ボタン一つで簡易セーブが可能なところは非常に便利。
セーブポイントは、どれも「ここまで来て死んだらあの面倒くさいアクションをやり直しか……」と思うところに用意されているので至れり尽くせりであった。ちなみに初回時に限りセーブポイントは体力を全回復させてくれる。

最後に、これは世界観に合わせて"あえて"なのだろうが、音楽がとてつもなく退屈、かつ単調なものの繰り返しとなっている。
はっきり言って聞けたものではない。
いいゲームには花を添えるようにいい音楽が存在するものだが、この単調さははっきり言って苦痛の類い。クリア後に何一つ頭に残らなかった。

ストーリーについても特筆すべきものはない。無意識下という状況の中なので、夢と現実が混在した違和感を感じさせようとする努力はうかがえるが、残念ながら脚本が追いついていないように感じる。例えるならば致死性のない毒。一部のマップなどにはセンスを感じるだけに残念。

長くなってしまったので総じるが、温故知新なアクションゲームとして巧みに作られており好印象。ストーリー、マップに不満も残るが、破綻するほどではない。

だが音楽……お前はダメだ。
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