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Posted: Jul 29, 2024 @ 9:18am

Hylicsとは何か?
直訳すれば唯物論者たちのことであり、「グノーシス系神学者ウァレンティヌスの三連集団における、人間の最も基底的な種類。つまり、知的(精神的)な現実にも魂的(霊的)な現実にも焦点を当てていない人」だそうである。
とすれば、この物語で唯一明示されている、王Gibbyがなぜ月にいて倒されなければならないのかは明らかである。グノーシス主義において、物質の宇宙は悪であり闇であるからだ。
そして唯物論という線で紐解くのであれば、ドゥルーズについて解説した千葉雅也の「動きすぎてはいけない」を想起せざるを得ない。
”プレイヤーの目標は目に見えるもので誘導されるんだ、環境デザインによってね、だから私はゲームの外観をなにかジョークや気をそらすものへ自由に作ってもいいと思ったんだ。あらゆるものがそこで意味を示すようにね。”
という作者のインタビューだが、あらゆるものがそこで意味を示すといいつつ、この世界はすべてが支離滅裂である。テキストはランダム生成、音楽はノイズミュージックなのかプログレッシブロックなのかフリージャズなのか(Afterlifeの音楽性は完全にDusterを彷彿とさせる立派なスロウコアだ)、登場人物はみな異形頭で歩き方も世界観もすべておかしい。これは意味が満ちたといいつつ、過剰接続を避けるべく切断の美学を有しているかに見える。
全てが意味を成しているようで成していないこの作品だが、しかし骨格はツクールベースのJRPGであるから、我々は安心して遊ぶことができる。ここでわざわざJRPGという、使い古されて批判的文脈から命名されてたジャンルを選ぶということは、この意味過剰であると同時に切断過剰なこの作品で生成変化の論理が要請を成すものである。我々はこのフォーマットに乗っかることで、肉をグラインダーに入れ、紙コップで水を飲み、テレビを見ては野菜を採集し、ジェスチャーを取るのである。そしてそれは世の他のゲームのように溢れこぼれ落ちていくような大量の文章を読むのではなく、作者の意図する視覚的誘導によってこそなされるのだ。

ここまでの説明が全部自動生成文による嘘だとしても、この作品は文章が意味不明だけどおもろいということです。
紙コップで水が飲める、テレビが見れる、意味の通じる言葉を喋るキャラクターが出てくるだけで感動できるゲームも珍しいでしょう。
でもPongorma探す条件は町の人間から話聞かないとわかんねーよ
幸いお安いので、迷ったら買うといいでしょう。気に入らなくても記憶に残る体験ができますし、
気に入ったなら無二の体験が得られるゲームによる快感を味わうことができるでしょう。
時間も5~6時間あればクリアできます。
それと気に入ったなら2も買うように。
それから3も開発のうわさがあるので、手袋を準備するように!
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